挿し木アーカイブ

6月 キンズ 挿し木

※ キンズつくりのポイントは、寒い時期には、いじらない

1. 挿し穂を親木(元木)から切り離すところ

太さ3,5cm、幹にねじれがあり将来が楽しみな位置を鋸で切断。
(より斜めに切断すれば5cmの太さに見える) 最大太さ5cm位の経験あり。
各位、必ず実施のこと。
いずれにしても①樹勢(樹の勢い)が良いこと。
②作業時期が、最低気温15度以上のこと。これを励行すれば容易な樹種です。
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2. 挿し穂の傷口をきれいに削り薬剤処置したところ

切断後小刀できれいに仕上げ、トップジン塗付、続いてカットパツター貼り付け。
(枝の切除部は、カットパスターペーストで可)
挿し木する位置の検討。
※ 挿し穂径の2倍程度の鉢であれば、直接化粧鉢へ挿し木しても発根例あり。
※ 必ず出来ます実施して下さい
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3. 挿し穂を固定したところ

挿し木用土粗め(私の用土尺度。
粗め=1,5mm~4mm、細かめ=1,5mm~3mmと決めています)挿し穂が動かない様固定。
鉢は2号、表土上に2箇所、水苔小指大を置き保水します。
防風対策すれば午前中日照する棚上OKこの時期実施しますと挿し木三週間後、鉢底から根が確認出来ます。(発根100%)
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同じ木、同じ作業の資料が有りました。

キンズは夜の気温が15度~20度の時期に行うと植え替えや挿し木、取り木、針金かけ等何をやっても良いのですが、春植え等寒期の作業を極度に嫌う樹種です。
今回は、4月30日と少し早いのですが挿し木後、盆栽小屋内に置き保護し、5月下旬以後の適時に実施する方への参考に出来ればと考えました。
取り木ではなく挿し木をしようとした理由は、根元部分は発芽させ次年度の挿し穂つくりを行い、次々年は根元からの樹つくりをしようと考えたからです。

1、素材

昨年、浜松の講習会の折、即売場で求めたものです。
確か5千円を4千円にして頂いたものですがしたから枝は無く、団子状に出ている枝付き部が太く、株状の挿し木又は取り木に適していると考えました
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2、挿し穂つくり

写真2は、幹太さ3cm不要枝及び不良
枝を切除しカツトパスターを塗付、
鋸で切り離した挿し木部はナイフで綺麗にカットしてトップジンを塗付、木質部にはカットパスターを貼り付けました。
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3、挿し木と固定

用土は赤玉8、桐生2で1~4mmの粗めを使用し、水はけと水持ちの双方を狙いました。
挿し木部には、赤玉1~1,5mmの微粒を5CC程入れ、ゴムをあてアルミ線で鉢と共締めし固定しました。
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3月 古枝挿し木(チリメン桂事例報告)

古枝の挿し木を奨励していますがここでは、活着率の高い樹種においてより完成木に近づけるため、小枝の多い部分の挿し木事例を紹介して、挿し木は、挿し穂の選択が重要である旨理解し、実践して頂くことをお勧めします。

1、挿し穂による差

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挿し木及び接木の実物
左のる月が06年6月18日の挿し木、次が05年4月3日に挿し木、右端は06年6月18日接木したもの

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同上葉刈り後

写真1と写真2を参考にそれぞれ06年挿し木と05年挿し木を比較してみると枝数では06年のほうが多く、05年は僅かではあるが幹の状態が太い様に見える。
右端の06年挿し木も接穂の選択が重要となる。

挿し木の時期は4月~7月上旬位までは、実施可能であることが解った。
然し、4月の挿し木(新根が動き出す時)は発根までの時間を要します。
即ち、長期間の保護管理時間を要し、6月の挿し木は、3~4週間で発根が得られますので管理期間が短くて済みます。

2、05年4月3日挿し木の最良品

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樹高6cm

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樹高7cm

写真3、写真4は05年挿し木の最良品でありそれぞれが長所を持っている。
これを写真2の③と比較して見ると挿し穂選択の重要性が判ります。
写真3は、小枝が多く鑑賞出来る状態であるが根張りは不充分。
写真4の様に、挿し穂の切り方で根張りの誇張も可能。

3、大型小品盆栽からミニ盆栽へのトライ


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樹高7cm

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樹高5cm

写真5、写真6は15年程前に購入した樹高18cm位のものでした。
合計3本購入したものを培養過程で1本は枯らしてしまいました。

当時はミニのチリメン少なく何とか樹高9cmを目指してきましたが今だこのレベルです。
このままの培養では大きな傷がいえるまでには今後何十年もかかりそうです。
数十万円で購入したものが15年経てこの状態ではストレスが溜まりますね。
これ等大きな盆栽を小さくする手法を断念する引き金になった樹であり、小生50歳を契機(13年前)に楽しみながら良い盆栽をつくろうと考え、以来古枝挿しに取り組ました。
捨てる様な枝で作るのですからストレスは少なくて済みます。

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写真7は、06年6月18日に挿し木したものです。
写真6と比較すると枝数が多く2年後の秋には、展示に堪える状態になります。
完成の暁には写真5、写真6のほうが見ごたえのある樹になるでしょうし、価値も高いでしょう。

然し、楽しむと云うことは、飾って見る、見せることにありますので幾ら良い幹でも幹だけでは展示出来ません。
挿し木の容易な樹種は(チリメン桂、クチナシ、ピラカンサス、ニレ欅等)小枝の多い部分の挿し穂選択が楽しみながら将来を創造するコツと言えます。

クチナシ、ピラカンサスの於いては、春本鉢に挿したものを秋の展示会に出展した事例も多くあり、ピラカンサス(赤実)に至っては実も付きました。
然し、その他の樹種で挿した年に実が付いた事例は在りませんので経験のある方はご教授下さい。

挿し木は、最低5本以上を同時に行い平均値で良否判断すると各々の環境に適合した時期や方法が実感でき、自信となり不必要なことを考えることもなく計画的に増殖出来ます。
然し、私は挿し木3年で展示するという行動目標がありますので写真2の④の様に、目標達成のためには、接木も大切な手段と考えています。

当然、古枝の取り木も推奨したい事項です。

2月 驚嘆の「石化チリメン桂」

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盆栽世界2007年1月号で紹介された、珍品「石化チリメン」を目にしたときの驚きと、珍品とは云え、江戸時代の古くから存在していたものに小品盆栽を趣味にして34年を経て初めて出会った不思議を覚えた。

早速、情報豊かな埼玉県や東京都在住のきらく会原氏と菊池氏に電話を入れ、「こんな珍品あったのかい?」。
答えは、両氏とも「始めて見たよ!まだまだ知らないことがあるね!」の回答であつた。
そして、「何十年やっても、まだまだ勉強することは多いねー」と、共に気持ちを新にすると共に、永く培養に勤めた関係者に敬意を覚えた。

幸い、盆栽世界愛読者限定「石化チリメン」特別誌上頒布応募」があり、早速申し込んだ。
今日か明日かと、待つこと2ヶ月、幸運にも写真2の「幻の石化チリメン」をゲットすることが出来、平成19年2月2日待望の「石化チリメン」と対面することが出来た。
早速、大事に育て多くの友人に分けるべく培養計画を立てた。

1、ベンチマーク(基点)

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入手時のまま。
石化作用とは、生物の遺骸に炭酸石灰、珪酸等が入り込んで、元の組織を置換し、硬くする作用と言うが、ここでは、幹より吐出している部分を石化部と単に呼ぶことにする。

石化部分の葉は小さく石化しない部分は、通常のチリメン桂と変化はない。
又、鉢抜きして判る範囲の用土は、赤玉3~2ミリ。表層は1ミリ。
植え土の中に若干の鹿沼土が見える。

又、石化の無い部分を見ると、他のチリメン桂に勝るとも劣らない葉性である。
現状を数値的に表すと、①樹高:91ミリ。②葉張り:155ミリ。③立ち上がり部:径6,85ミリ。④立ち上がりより20mmの部分の幹幅:27,8ミリが概要である。

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写真3は、樹高10m位の桜の中程に、他の枝には見られない枝の多い部分が在る。これは、近くの宇多利神社の桜、染井吉野である。
私が勤務したビヨンズ(株)の事務所前の桜にも、この様な突然変異的部分があった。(てんぐす病?)
しからば、何故この様な変異が発生するのか?不思議である。
解明を思う時、写真で可能な限り、表し、諸兄、諸姉のアドバイスを得る以外に方法見当たらない。

よって、写真で表せる全てを伝え、教えを願うこととした。

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写真4で注目すべきは、石化部分の葉はが、他と比較して小さいことに在る。

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写真5は、写真4の葉の小さい部分を左側から拡大撮影したものである。

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写真6は、写真5の裏側から撮影したものであるが、石化部は平幹状であり、側面から見ると1,2ミリの厚さであり力量感に欠ける板状である。
又、板幹の部分には数珠状に繋がる芽当たりが見える。

ここで、石化の定義を考えてみよう。
「①生物の遺骸に②炭酸石灰や③珪酸が入り込む」との事である。

想定される部分は、該当する直接部分なのか?又は根なのか?考えるだけでも楽しい。
植物の生理から想定されることは、根の異常が幹や枝に現れるのが一般的である。

然し、何らかの刺激により枝葉が萎縮してこの様な状態になるのかは、現時点では解明出来ない。
今後、図書館での調査か農林試験場への問い合わせ、結果が得られれば追記することとするもののこれらが外面で観察出来る全てである。
然し、この状態(現象)を石化と云うべきか非かが問題として残るものの、次のアクションは起こすこととする。

2、現状把握(予定項目)

(1)提供先への聞き込み
(2)根と石化部の関係
(3)用土(PH等特に鹿沼との関連、鹿沼土は根に刺激を与えるといわれている)調査
(4)その他

3、仮説の検証

検証に欠かせないのは検体の確保である。
外面的検証は入手した親木(写真1の全容)の各枝で可能である。
根及び用土や培養法、使用薬剤等による検証の検体は、挿し木で増殖させることとする。

(1)親木での検証
 イ、指定の部分を切り込み
  ①そのままに放置する
  ②殺菌剤トップジンを塗付する
  ③成長調整剤スミセブン50倍、100倍、200倍、を噴霧する
 ロ、切り込まず伸ばす

(2)挿し木で増殖後の検証(検体は検証事項毎N=5以上とする) 
 イ、用土調査(標準的植え土+鹿沼土10%、20%、50%)
   鹿沼土検証理由は、根に刺激を与えると聞いたことがあるため
 ロ、肥培調査(N主体、P主体、標準肥おまかせの増減、三菱化成IBの増減)
 ハ、用土への検証
  ①成長調整剤スミセブン(300倍)の投与
  ②炭酸石灰の投与(炭化カルシュームを含む温泉か鉱泉水で良いはず)
  ③珪酸の投与(塩酸にレンガを浸け、堆積物が出来れば多分珪酸)
 二、枝葉への検証
  ①成長調整剤スミセブン(50、100、200倍)の投与
  ②炭酸石灰の投与
  ③珪酸の投与
2007年2月3日現在

4、葉刈りの実施と調査

石化チリメンは、通常チリメンより芽動きが10日程遅い更に石化部分が芽動きは皆無。よって石化部の葉刈りは(一部実施)芽動き時まで待つこととした。
(1)葉刈り実施で解ったこと(感じたこと)
  ①葉の脱落抵抗は、石化部と石化以外部では石化部が劣る。
  ②石化以外部の枝は、培養管理及び樹齢に関係する部分は在るものの通常チリメンと比較し、弾性に劣り容易に欠損する。
  ③斑は、写真4でも判別できるが春になり葉が緑をおびてきたため鮮明に判別出来る。これは通常のチリメンには見られないが藪チリメン(丁花桂の変形)には、同様の斑が見られる。
2007年4月9日

5、挿し木

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(1)既に石化している部分の挿し木
写真7は石化部分の挿し木、樹高3cm程の超ミニサイズが可能と思われる。
間延び部分は更に分割し、1~3cmの挿し木14鉢。
2007年6月8日実施。

実施時期的には、もう少し速いのが好ましいと思われるが楽しみである。

挿し木作業

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古枝の挿し木作業 ポイント
目的 挿し木は、小品盆栽増殖の最良の方法であり樹種により発根良否はあるものの安価に楽しむ増殖手段 挿し木した後の日照、湿度管理で発根する。
1 挿し穂(挿し木材料)つくり又は選定
・目標、狙いを決める
・挿し木の適時までにより多くの芽あたりを作る
・挿し木位置マーキング
樹勢良い樹を前年紅葉中に
2 挿し木作業準備
・挿し木後の管理容器(場所)整備
・挿し木と固定方法の決定
・ナイフ研磨
・新水を1リットル準備(発根剤100倍で)
・ミズゴケを水に漬ける
HB―101入れて
発根剤も
3 挿し木鉢準備
・植え替えと同じ用土いれ
・植え土を入れた後の鉢中心に凹をつくる
・同 凹部に化粧土小さじ1杯入れる
(ミジン土)
4 挿し穂を切り取り(鋏又は鋸で)新水容器に入れる 発根剤入れるも可
5 挿し穂の発根予定部分を鋭敏なナイフで仕上げる -
6 トップジンMを塗付してティシュペーパーで拭き取る。
トップジンを拭き取るタイミングの代表樹
・ズミ:塗付直後
・ガマズミ:同上
・エノキ:同上
・フジザクラ:塗付後10秒後
・ザクロ:同上
・サワワタリ:同上
・クチナシ:塗付20秒後
発根剤は無くてもトップジンは厳守。
理由:根を出すことより樹を腐られないことを優先すること
挿し穂が腐らなければ必ず発根する。
7 挿し穂を鉢の化粧土の上に乗せる -
8 新水に漬ける 挿し穂を押さえながら
9 挿し穂と鉢を固定する 挿し穂を持ち上げ動かぬ様
10 再度新水に漬け固定状況確認 緩んでいたら再固定
11 水苔を載せる(1,5号鉢で人差し指大2箇所に) -
12 灌水する -
13 透明ビニールの保護容器をかぶせる -
14 午前中の日光3時間当て後は日かげる場所に置く -
15 葉水毎日(霧水理想) HB101を2~3滴入れ
古枝挿し実績(難易度:超容易◎、容易○、難△、超難×)
樹種 難易度 挿し穂径 挿す時期 発根期間 備考
アケビ 50mm 芽動き時 2ヶ月 本鉢挿しOK
イボタ 15 芽動き時 -
イチジク 30 芽動き時 1.5
イチイ 10 芽動き時 3
ウメ(甲州) 5 落ち葉時 5 静岡で11月中旬
エゴ 15 芽動き時 2
エノキ 30 芽動き時 2
オウバイ 20 芽動き時 2
オニツタ 30 芽動き時 2 本鉢挿しOK
カイドウ 10 芽動き時 2 根伏せ推奨
カキ(老爺) 5 6月 1 根伏せ推奨
カエデ 30 芽動き時 2ヶ月
キンズ 15 芽出し時 3~6 本鉢挿しOK
クチナシ 50 6月 1
コママユミ 10 芽動き時 2
サクラ(富士) 30 芽動き時 2 根伏せ推奨
サクラ(十月) 10 芽動き時 2
サツキ 10 6月 1.5
ザクロ 10 芽動き時 1.5
サンザシ 5 芽動き時 2.5
シモツケ 10 芽動き時 1 本鉢さしOK
シロシタン 5 芽出し時 2
スギ 30 6月 1
ズミ 5 芽動き時 1.5
セッカヒノキ 5 芽出し時 2
タチバナ 5 6月 1.5
チリメン(桂) 20 芽出し時 2 6月挿し1ヶ月発根
ツツジ(霧島) 10 6月 2
ツバキ 3 芽動き時 3
ツヤマヒノキ 5 芽出し時 2
ハマボウ 10 芽出し時 2
ハギ 10 芽動き時 2
バラ 50 芽出し時 2
ピラカンサ 20 芽動き時 2 本鉢挿しOK
ビナンカツラ 30 芽出し時 2 本鉢挿しOK
ヒノキ 5 芽出し時 2
ベニシタン 10 芽出し時< 2
ムレスズメ 10 芽動き時 2
メギ 20 芽出し時 2
ヤナギ 15 芽出し時 1.5
リンゴ(姫) 5 芽動き時 3

五言

1、挿し穂は芽の密集したところを
2、挿し木後挿し穂に風を当てない
3、湿度70%確保(湿度計を使いビニール覆の上部開口径を調整して)
4、挿し穂に朝日をあてる(2~3時間)(30度以上の日差しは45%寒冷遮を)
5、鉢底から根が確認できるまで挿し穂を動かさない(絶対に)

2月 アケビの古枝挿し

平成19年1月27日、富士山盆栽組合の主催するオークションに久方ぶりに出かけた。
目的は、アケビの挿し木になる様な種木(盆栽培養の原材料)を入手することであつた。

下見(オークション開始前狙いの品を見定める)中、30cm程のアケビに目星を付けた。
同席した盆栽仲間のK・I氏もこれはものになるね!私も同感であった。

オークションが開催され、幸い狙いの入手することが出来た。
価格も6千円で落札しそうであったが、6,500円の追随者が出たため8,000円に高飛びして入手した。
落札推定価格を12,000円に考えていたので随分得をした様な気がした。

1、現状

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写真1は、カイドウの取り木偏で紹介した樹と同じ方が所蔵していた様子であり、枝打ちは希望するレベルに行われており秋にはアケビのプチ盆栽が30鉢程出来るはずである。
今年は、暖冬のためか既に芽の先端は緑になり始めている。
今日は2月5日であり昨年より15日早いが挿し木を開始することとした。

2、作業日程

(1)現状宇調査、挿し木構想案 2月5日
(2)挿し木作業実施      2月6日午前3時~10時
(3)管理作業         7月下旬まで継続(以後通常培養可)

3、挿し穂の現状

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いずれの枝も1~3cmの太さでありプチ盆栽としては、最適であり大小さまざまな樹形も期待出来る。
特に、蔓ものであるアケビは、発根が良く挿し木盆栽としては最適であり、直接化粧鉢へ挿しても充分活着する実績は多くある。

4、挿し穂つくり

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写真5、6の挿し穂つくりは不要枝を切除し、切り出しナイフで切り直した後トップジンを塗付、トップジンをティシュペパーで拭き取る。
一連のこの作業は、挿し穂つくりに限らず枝、幹の切除作業後の処置として欠くことの出来ない大事な作業です。
特にアケビは腐り込み易い樹種です。

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写真7~9はそれぞれ狙いに合わせて切り離しますが、この時少し長めに切り離すこと。
後で切り口を切り出しナイフ(兼進製接木ナイフ材質白紙1号)で切り直し作業要すため。
太い部分は、鋸を使用します。
可能な限りすばやく切り離すことが必要です。
その為には鋸が切れる様、鋸刃のヤスリ掛け作業も習得しておく必要があります。

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切り落とした刺し穂は写真10の様に、500ccの水に発根剤2,5cc+HB1012~3滴を入れた中に入れます。
 挿し穂は、全て切り出しナイフで切り直してトップジンを塗付。

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又、大きな切り口には、更にカットパスターで木質部のみ保護します。
これらの作業は、発根や活着に大きな影響を与えます。

5、挿し木床(鉢)つくり

挿し木をする場合、挿し床を使用するのが一般的ですが、私は直接鉢に挿します。
理由は、挿し木がやがて、発芽、発根をしていきますがこの時、樹勢が旺盛であれば押さえ針金を行う場合があります。
その為、鉢に小分けされていると作業が容易であり、又、各々の状態の観察が容易であり、鉢別管理が可能なためです。

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写真12は、通常用土(皆さんが使用している)にプラス1mm程度のミジンを挿し穂の接触する部分に加えます。
この時、ミジンを加える部分は少し用土を減少させると良い。
鉢は、挿し穂太さの1、6~2倍(ほぼ植え付けと同じ)を使用します

6、挿し木作業

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挿し穂を用土の上に載せ、軽く押し付け写真13の様に針金で固定し充分に灌水(発根剤+HB101入り)する。

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挿し穂固定後は同じく、発根剤+HB101入りの水苔を写真14の様に2箇所載せアルミ線で固定します。
水苔の載せ方は、発全体でも良いのですが私は通常は2箇所に対象で置きます。
場合によっては発根を浴したい部分のみに置くおこともあります。
確たる、データーは在りませんが全面に置く水苔の量を指定箇所に置き、1鉢の中に乾燥する部分と、乾燥しない

部分を作ることは、挿し穂に刺激を与える物理的条件が整ているものと自己判断しているためです。

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写真15は写真1の素材から出来た挿し木の全てです。
まだ水苔を置いてないものもありますが計19本の挿し木と写真16の台木が出来ましたので合計20本です。
素材を8千円で購入しましたので一鉢当たり400円となります。

7、挿し木後の管理

―実は挿し木で大切なのはここからです!―

①当初の置き場所は、朝日が2時間~3時間当たる場所(棚下等)で、保護キャッププラス寒冷斜45%で管理し、花は随時取り除く。
②本葉が出てきた状況に合わせて徐々に寒冷斜を除く
③本葉が固まって来たら棚上げする。(発芽状態によって各々の鉢に差があるので状態の整った鉢から順次行う)
④基本的には、一番芽が間延びしてもそのまま伸ばし続ける。
⑤遅くても7月上旬までには2番目が出る、この芽が将来を決するのである。枝に曲をつけたい時は針金掛けで、枝を伸ばしたくない時は芽が出始めるとき、その芽の部分のみに成長調整剤(スミゼブン300倍)を噴霧する。(根や他の芽にかからない様に)
⑥7月中旬以後徐々に一番枝(間延びした)切除し、2番目に力点を置く手入れを行う。

8、台木の処置対策

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写真16は、不要枝の切除及び、根の切り込みをした状態です。
根は鋏や又切りで概略切除し、その後切り出しナイフで綺麗に切り直し、(これは富士樹会YO氏が30年程前から実施する方法で、一気に根を切り詰める場合欠かせない作業です)トップジンを塗付し拭き取り、必要に応じてカットパスター保護をし、写真17の様に植え付ける。
上部を挿し木したので大きな傷がある。このため焼け込み防止策として考えられる神付けと樹皮の部分にはトップジンを塗付しが焼け込みが出来る危険性はある。
この時、焼け込むことを考慮(PPA=処置がNGだった場合はどうするか案を立てておくこと)した培養が必要である。
アケビは焼け込み易い樹種である。

9、切除した根を生かす

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写真18は、アケビの根である。自生しているアケビは何十メートルも細く長く伸びる。
富士川は急流であり、昔はこの急流と秋口から魚が海に下る習性を利用して「もじり」や「やな」と云う漁具で鮎等を捕獲していた(今は禁止されている)。
この時の漁具を作るのにアケビの根や蔓が使われた。
理由は、水の中でも腐りにくい性質からとのことである。

アケビの根は伸びていきながら1メートル間隔位に根や芽が出ていたのを記憶している。
アケビの根伏せの経験は無いものの、これらの記憶の検証は価値があると考え実施する事とした。

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写真19は、ズミやカイドウ等と同じ方法でビニール袋に保管し、発芽を待つこととした。

10、追記

発根や活着から展示までの追跡を順次行い情報提示することで、盆栽つくりの一助となれば長年小品盆栽を楽しませて頂いた山の神へのお礼になるものと考えております。
又、結果の出る前にこの様な記録を提示することは、的確な作業や管理をする様、自分にプレッシャーを掛けるためでもあります。
幸いこの記録を見た方が同様の作業に取り組み、経緯や結果の情報交換が出来れば培養知識・技能向上に繋がりこの上ない喜びであります。
(平成19年2月7日現在)

11、第1回経過報告

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写真20は、挿し木後40日経過した状態です。写真20の右を写真14と対比して下さい。
樹勢の良いものは、写真はダリの様に保護キャップに当たり曲がっていますがまだ鉢孔に根は確認されません。
このまま伸ばし続けますが強すぎる新芽は4月初旬に新芽の先端を1cm程切除する予定です。
いきなり短く切ると新芽が元から枯れることがありますので注意が必要です。

尚写真15に在ります挿し木19本で枯れたものはありません。


12、第2回経過報告


2007年9月17日
写真18、19の根伏せ用根からの発芽見られず、処分。
又、挿し木結果は発根17本、枯れ死2本であつた。
枯れた2本は室出し後

12月 金華山

挿し木準備作業は紅葉時
挿し木:春芽吹き時、取り木外し:入梅時期

1、葉刈り、追い込み前の状態 (推奨時期は紅葉開始時ですが先行作業をしました)

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金華山を始めガマズミ全般に挿し木取り木共容易です。
又、枝つくりは、切り込みを実施しますと、容易に出来ますのでプチ盆裁向きです。

2、葉刈り、切り込みしたところ

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0,6mmのアルミ線で数箇所結束して次年度の挿し木に備えました。
6月頃、一度切り込みますと秋までには、再度切り込めるまでに成長します。
頻繁に切り込む必要はありませんが、毎年この作業を繰り返すと良いと思います。


3、同上拡大したところ


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長く伸ばして太らせるより、ツルもの(チリメン桂等)と同じ様に芽太り(芽数を多く出し太らせる)させる方法をお勧めします。
又、気付いた時にアルミ線を樹の太さより広い幅に巻き付けて置きますと、巻き付けた位置より上が太り、発根も促進され有利です。

※幹の芯がコルク状になる樹種は、腐り込み易い傾向にありますが、トップジン又は、カットパスターペーストを塗り過ぎると、コブ状になりますので塗付後拭き採って下さい。

8月 斑入り富士 挿し木、取り木準備作業

1、今年挿し穂取りした後の様子

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08年挿し木した後は、何もしないでただ伸ばしておき、深切りした部分の回復を主眼にしました。
状態は、ただボウボウと伸ばしたのみです。

2、次年度の構想案

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紅葉(黄葉)開始を見て次年度の取り木、挿し木の準備作業に入ります。
A部等はすでの切除部の被服が出来ています。
写真の様に今年度の枝全てを切除します。
来春出る新芽に合わせ、狙いの樹形にしていきます。

  1. 取り木、挿し木ともB線で行い。
  2. 取り木は、新芽に針金かけ可能
  3. 挿し木は、そのまま伸ばし次年度の芽で作る

3、挿し木(3月芽吹き時)

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挿し木時期:新芽出る時期
取り木時期:新芽出る時期及び6月頃

09年3月19日挿し木
(詳細は№3月―8で)

11月 唐楓 庭木挿し木又は取り木準備


取り木時期:芽吹き前3月上旬又は葉の固まる6月上旬
挿し木時期:芽吹き前3月上旬又は葉の固まる6月上旬
取り木外し時期:葉の固まる6月上旬~中旬又は9月下旬

1、庭に植えた唐楓の葉刈り、追い込み前の状態

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春の芽を7月上旬切り込みしたものが11月
下旬、写真の様に再度伸び、次年度の芽当たりがある。 実施時期は、富士で12月上旬以後の紅葉時が最適ですが参考実施しました。


2、葉刈り後、不要枝、伸び過ぎた枝切除した状態


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葉刈り後、徒長した枝や不要枝は全て除去します。矢印の核部分は、7月上旬の切り込み傷ですが処置を丁重に行い腐り込み防止します。
矢印Aの部分は、春1,5mmのアルミ線で結束しておきカルスを溜め、太りも促進させました。
春枝先に赤実が見える時期が挿し木に適しています。


3、挿し木


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庭木から切り落とした挿し穂、結束部にはカルスたまりもあり太さが得られた様子が伺えます。

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挿し木位置はこの位置になります。
挿し穂と用土の密着性を高す。動かぬ様固定し、荒風防


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植え土の中心部に1mm位の細かい土を5CC程入れ
め用土と挿し穂を密着させま止と午前中日照場所で管理。

11月 唐楓の取り木及び挿し木準備と将来検討

取り木時期:芽吹き前3月上旬又は葉の固まる6月上旬
挿し木時期:芽吹き前3月上旬又は葉の固まる6月上旬
取り木外し時期:葉の固まる6月上旬~中旬又は9月下旬


1、取り木、挿し木前年の枝つくり


推奨時期は紅葉開始時ですが先行作業をしました

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2、結束して小枝を作った状態

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Aは、2年前の取り木の傷後です。
取り木前に呼び接ぎをした部分が、直径2cm程になりアルミ線1,2mmで結束して、小枝を作りながら取り木又は挿し木の準備をしました。
あまり枝を伸ばさず小枝を増加させる様準備作業をしました。
Bは、結束するアルミ線がずれない為の仮釘です。
これによって位置が定まります。

3、同上

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直径3,5cmのC部で判るように、春巻いたアルミ線が微かに食い込んでいます。
枝をもっと伸ばすと本年中に根が出るのですが、小枝つくりを優先しましたので本年根は出ません。然し、トータル的には、仕上がりは速いと考えています。
この位置は、障害になるものがありませんのでDに呼び接ぎをしながら、取り木をすることにします。

4、次ぎの作業を考慮して呼び接ぎをしているところ

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Dは、更に葉性の優れたものが入手出来たので、別の鉢から呼び接ぎをしています。
尚、この木から来年は7箇所取り木又は挿し木が出来る様、事前準備しましたが全て葉性の良い枝を呼び接ぎしたものです。


5、切り込む予定の根に呼び接ぎをしたところ

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Eは、不要根を切除する前に呼び接ぎをして置きますと、切除と同時に3cmの木が出来ます。
しかも、接いだ枝を手前に曲げますと鋭さのある樹形が創造できます。
樹が呼吸している部分であれば捨てるところはありません。工夫して下さい。

6、将来の正面

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現在2箇所に呼び接ぎをしてありますが更に、来年3箇所、幹を切り落とした後2箇所に呼び接ぎをし、七幹の株立ちに仕上げたいと考えています。
尚、現在の根廻が15cmですのでこれ以上ゴツサを出さない様創りたいと考えていますが、プチサイズが好きですので多分又、取り木、挿し木になるのではないかと思います。

プチ盆裁といわず小品盆栽は、少し大き目の素材を一本入手して置きますと毎年何鉢か増えていきます。
尚、唐楓の場合、葉性の良いものを(盆裁屋さんに良く相談して)入手して下さい。
粗い葉性は、どうしても優しい小枝になりません。
良い葉性は、誰が作っても優しい枝が出来ます。

※№3月―13で継続記載

6月 キンズ 挿し木2

1.5月23日植替え品

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アンダーラインの部分で挿し木をし、接ぎに出た芽で呼び接ぎを行いキンズ本来の縦縞に添った樹つくりをする予定です。
何の樹種でもいえますが古さが来ると幹に現れる縞に添わせた樹つくりは、盆裁つくりの基本でありこの縞に逆らった樹は違和感があります。
ちなみに、縦縞を速く出したい場合いは、捨て枝等で木を太らせる(形成層を厚くする)と良い結果が得られます。


2. 挿し穂切り離し後

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3. 挿し木

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小さな蒼い芽が出始めましたので、挿し木の適時です。本体は呼び接ぎでつくります。

4. 挿し木後の管理

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6月に挿し木が適時のキンズ等は、写真の様に一日中日の当る場所で良いです。
春挿しの時は、3cm程の孔ですがこの時期使用するものは、10cm程の孔に拡大してムレ防止をします。

5. 棚上の保護キャップ

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写真5の様に土鉢を裏返しにし、風で飛ばされ防止対策と真昼の日照対策として行っていますが悪くありません。

6月 金華山 挿し木後の手入れ

2月 金華山(ガマズミ) 挿し木の継続


1. 2月の挿し木の状態

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挿し穂は、写真の様に挿し木直後でも穂が動かない対策が発根促進の決め手です。
矢印も右は、挿し穂位置決め針金でほぼ挿し穂固定し、更に矢印右で挿し穂と鉢を一体化させる様縛り付ける。

この作業実施で荒風防止と日照対策で発根率は著しく向上します。

2. 6月11日現在

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2月 金華山(ガマズミ) 挿し木」の写真2の様に、挿し穂のバラツキは在りますが、6月11日現在の成績最良品と最悪品です全体での活着率は85%でした。
写真右の伸びている枝は、7月中旬に切除し秋芽を出すことを狙います。
写真左は、樹勢アップを優先し、来春まで施肥を繰り返します。

6月 小葉シロシタン 挿し木及び鉢上げ、再挿し木

1. 挿し木品鉢上げ

5月15日挿し木した小葉のシロシタン、発根状態も良く芽当りも非常に良いプチ盆裁素材としては、最適であるとい思います。
「超ミニ盆栽が盆裁の真髄」を理念とする浜松の盆裁仲間のことを考えると、挿し木をして分けてやらなくてはならない責任を感じさせる素材であります。
当初漠然と挿し木しましたのでベンチマークがありません。

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2. 挿し木品分割

挿し木の中に上下の二箇所から発根しているものがありましたので、二分割して鉢上げしました。
樹高3cmの小枝の多い超ミニ盆栽、香丁花と同様な樹形、樹高が確保出来、更には、白い花が咲き、赤い実が成り長い間鑑賞することが出来る樹種です。

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3. 再挿し木

5月31日小枝を採取し、09年再挿し木を実施しました。
ほぼ二週間で発根していましたにで、再々挿し木も可能ではないかと考えます楽しみです。
尚、小葉性と云いますと小葉モミジが在ります。この挿し木は、2月末、6月上旬,9月中旬の3回共可能です。
11月上旬の挿し木は、管理次第で対応出来ますが確実なのは2月末、6月上旬、9月中旬が無難です。

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6月 ウメモドキの挿し木(入梅挿し)

実施時期:葉の固まる6月上旬

1. 挿し穂を親木(元木)から切り離したところ

春から伸ばしておいた枝の中で、今後使用難の枝は切除し、Aの様に保護剤を塗付します。
ウメモドキの場合Bの様にこまかい根が出ているものは大切に扱います。尚、前年初冬追い込み(不要枝を短く切断)し、芽数を増やす作業要す。
その他は「6月 唐楓」を参照方。

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2. 挿し木部分のカット

切断部は、きれいに仕上げトップジン塗付、その上からカットパスターを押し付けます。
(写真は塗付前です)
この時、葉の数は、1枝2枚以下とし、大きな葉は、半分程度に切除します。 
尚、使用鉢サイズは、2号(6cm)です。

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3. 挿し木の固定状態

植え土に押し付け、針金で固定します。
この時Aの方向に持ち上げ、挿し穂が動くようでは、ほぼ100%枯れますし、作業時間がかかりAの方向にもと上げたとき葉がとれてしまう様では、発根率が低下します。
素早い作業又は、雨天の作業が良い様です。
管理場所は、棚下等で朝日が2~3時間当たる場所。 発根率90%以上。

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6月 唐楓 挿し木

1. 親木(元木)に状態

Bは、根元の部分を活用するため事前に呼び接ぎ(枝の無いところに溝を付け、この溝に別の枝をはめ込み枝を増やすこと)をします。
A―Aで切断して挿し木をします。切断は、鋸又は又切り鋏(盆裁専用鋏)で行います。
この時、葉は1枝に2枚以下にします。

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2. 挿し穂の傷口をきれいに削り薬剤処置したところ

事前に発根剤及び活性剤を適量、水に溶かして置き切り離した穂は速やかに水に入れ乾燥防止します。
切断面は、切れるナイフで仕上げ、挿し木用土を準備した後、挿し穂を取り出し、ティシュペーパーで水分を拭き取り後、トップジンM塗付、カットパスター塗付の順で切り口の保護をします。

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3. 挿し穂を固定したところ

挿し木用土の上に挿し穂を押さえつけ針金で固定します。
固定後Cの方向に持ち上げ、動かない様にアルミ線で固定します(動くものは、発根しないことが多いです) 再度発根剤、活性剤の入った水に浸けながら再固定し、表土の2箇所対象に水苔を置き乾燥を防止します。
管理場所は、朝日が2~3時間当たる棚下で、保護キャップ等で防風対策を要します。

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5月 喜代誉 挿し木

1. 挿し穂

15年前、小葉のクチナシが雅風展に貴重登録作品としてお目見えし、その細かさに驚嘆したものでした。
その後この樹は、樹勢がのらず持主のM氏も困惑していました。
私が冗談で「クチナシだから全部枝を切り込んで挿し木をしてはいかが」と言ったところ、「それも面白いな」。
そして何十万円と引き換えに挿し木(親きは消滅)にしたものです。

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2. 挿し穂準備

当時この挿し穂を見れば、鼓動で体全体が動く様な感動があったはずです。
今回、15年前の感動を更に高揚すべく、挿し木を行いました。
挿し穂は、株立ちを想定し、挿し穂を用土に倒して置くイメージで作りました。 

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3. 挿し木

丁度15年前、富士樹会の会員(当時私も会員)に支給されたものとほぼ同様の姿です。
頂戴した日は、いろいろな創造がめぐり一睡も出来ませんと云うより、興奮が冷めず当日の勤務でも眠気はありませんでした。
度合いは異なりますがより当時に近い感動が得られる様挿し木をしました。
3年後、枝数32本で展示する目標です。

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5月 一才ズミ 春挿し木品の鉢上げ

2月 一才ズミ 植替え、根伏せ、挿し木作業の継続

1. 2月22日現在

春挿した一芽挿しの5月26日現在の状態です。
前年の枝を一芽残し挿したものです。

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2. 5月26日現在

5本発根、5本は未発根でした。

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3. 発根状態

矢印幅は1cm。芽当り部より5㎜下で挿していることが判ります。
尚、木質部は枯れ太過ぎると発根難を示しています

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4. 鉢上げ位置

植付け位置は、木質部が用土より上に植え、7月に根の部分に針金を掛け鋭い曲にします。

この時の作業で大切なことは、根を切らないことが基本です。
私の植替え定義は、小根が殆んど無い挿し木状態を植替えと云っています。
根を切らない植替えは、鉢替え又は鉢上げと区分しています。

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5. 鉢上げ方向

鉢上げ方向は左右バランスよく行うと将来飾る場合便利。

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6. 再挿し木

未発根品は再挿し木実施。尚、カット部に形成層巻きの無いものは発根難。

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5月 キンズ 植え替え、挿し木、根伏せ

1. 現状

浜松の盆裁仲間に依頼してあったキンズをわざわざ届けていただいた。
葉には黄ばんだ部分があるので根の痛みが想像出来る。
左下の写真の様に用土の水はけとの関係と思われ、
根洗いすると右下の写真のように根先が痛んでいました。

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2. 良いとこ取り

各部分を観察し、本体の植替え、根伏せ部分の探索、挿し穂の選択で重要な部分は、最適な姿、挿し木は芽当りの数等がプチ盆裁の場合最重要項目です。

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3. 作業後

それぞれの作業は、キンズの特性を考察して実施ました。

A. の植え付けは水はけ向上を考察したザル植えが最良と判断。

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B.の根伏せは、ビニールポットを使用し狙いの位置への発芽誘導を思考した。

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C. 挿し木は芽数の多い部分を行いました。

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尚、キンズの挿し木の発根実績は3cm位の太さが最適です。

5月 杜松穂 追加挿し木と挿し木

4月 杜松穂 植替え&挿しの継続

1.現状と挿し穂

写真左の矢印は、4月6日挿し木した部分であり、既に新芽が接ぎテープを突き破っています。
矢印右の楊枝を挿した部分に追加挿し木をして林の奥行きをつけることにしました。
挿し穂作りは、通常通りきれる刃物で切り直し、アルミ針金を巻いて挿し穂を接ぎテープで全閉に巻き付け、切り口のみ出して必要な部分に挿します。

追加挿し木のポイント

  1. ①接ぎテープを突き破ってもそのままで
  2. ②実施は4月末(1ヶ月遅いが初実施)

5月 杜松穂 追加挿し木と挿し木1
5月 杜松穂 追加挿し木と挿し木

2.挿し木追加後

2の写真は、追加挿し木が完了したところです。
八房杜松、杜松穂等追加挿し木が可能です。
そのまま外に出しますので接ぎテープによる保護が必要です。
連休前実施が良いのですが挿し穂入手の関係で遅れました。

5月 杜松穂 追加挿し木と挿し木 3

3.6月6日針金は外しと呼び接ぎ

余剰刺し穂は3の写真の様に挿し次年度以後に備えました。
挿し穂が長く用土に隠れる部分が少ない挿し木は、アルミの針金で補助します。
補助針金は、鉢底に当る長さが良く挿し穂が安定します。
以後保護キヤップで保護方。

5月 杜松穂 追加挿し木と挿し木4

5月 斑入り富士(ウメモドキ) 挿し木の途中経過報告

3月 ウメモドキ (仮称斑入り富士) 挿し木の継続


1.09年5月19日現在(直径4.5mmの挿し木品)

写真は、3月19日に挿し木したものに一番針金(押さえ針金)を掛けたところです。
今までは、太物の挿し木は針金を一切かけず次年度新たに出る芽で針金かけを行い、発根最優先を実践してきましたが今年初めて、挿し木2ヶ月品に針金をかけました。
新枝の柔らかさが最適な状態であり鉢底から新根は確認できないものの針金かけ初実施。

5月 斑入り富士(ウメモドキ) 挿し木の途中経過報告1

2.同上(直径3mmの挿し木品)

同じ日挿し木したものですが、上の写真同様発芽状態は順調です。
今の時期、食い付き枝の針金かけが出来れば7月末2回目、9月末3回目針金が可能と思います。
次年度更に発芽する枝を対比しながら計3回の針金かけを実施しますと樹の輪郭はほぼ完成すると思います。
楽しいですね!

5月 斑入り富士(ウメモドキ) 挿し木の途中経過報告2

3.6月6日針金は外しと呼び接ぎ

1.の写真から、表土清掃とネットかけにより挿し木から鉢植えバージョンに変更。
更に枝の不足部分に呼び接ぎを行い、秋の追込みまで肥培に専念することにしましたが、樹に変化が起きましたらそれに追随した作業は随時報告します。

5月 斑入り富士(ウメモドキ) 挿し木の途中経過報告3

5月 クチナシ 挿し木等

きらく会原会長に頂戴した良実成のクチナシ

1.現状

5月 クチナシ 挿し木等1

2.本体

クチナシと云わず「プチ盆裁」の場合節間5mm(理想は3mm以下)以下のこと。

5月 クチナシ 挿し木等2

3.挿し穂

作業は簡単です。
接間が間延びしていると思う部分は全て切除します。
よって通常の培養作業も将来の挿し木、取り木等を考察したものが要求されます。
又、挿し穂の写真は、発根の容易さを考えるともう少し長く切除することをお勧めしまが、プチ盆裁は妥協の無い完璧さが見せ場ですので、選択は各自の審美眼の大小です。

5月 クチナシ 挿し木等3

4.本体の植え付け

5月 クチナシ 挿し木等4

小さな樹=プチ盆裁では在りません。
70cmの盆裁をそのまま7cmにした時、節間は10分の1に成るのが当然であり最低条件です。

5月 クチナシ 挿し木等5

5月 キンズ 挿し木

ポイント

  1. 根の部分に酸素供給量を多くさせる用土又は灌水方法を工夫のこと。
  2. 夜の気温15℃以上で各作業のこと。
  3. 寒期は消毒以外、一切の作業厳禁。

1.素材

素材7本を2万円で購入。
状態から見て根の痛みが在る様なので先ず、ベンレード消毒(浸け)します。

5月 キンズ 挿し木 1
5月 キンズ 挿し木 2

2.追込み

不要枝、間延び枝切除。
プチ盆裁は普通の小品盆栽とは枝分かれのピッチが異なり、そのまま使用出来る枝は在りません。

5月 キンズ 挿し木 3
5月 キンズ 挿し木 4

3.挿し木と保護

先端部の芽当りは切除して挿し木にします。
根元及び根の部分は、特長を活かしながら根伏せをします。

5月 キンズ 挿し木5
5月 キンズ 挿し木 6

4月 杜松穂 植替え&挿し木

1. 現状

「杜松穂」今思えば懐かし樹種です。
コニファーでしょうが、何時しか杜松穂と云う良い呼称になりました。

今から20年程前、平板石に植えられた日本の風情とは異なる素晴しさに出会い、喧々諤々。
持ち込んだ方は、80歳位の年配者で3?5千円で売れればとの印象であったとのことであった。
良い雰囲気では在るが、評価(価格的)が難しく意見が分かれた。
私はこの樹を6万円と評価し、失笑を買いました。
内訳は、樹1万円、この樹を使い西洋風盆裁に仕立てた発想料5万円の評価です。

そんな関係で富士では、西洋杜松と呼称していました。
挿し木は容易、知人から頂戴したこの樹は、水やりも不十分な様ですが枯れずに頑張っています。

4月 杜松穂 1.現状


2. 植替え後

枯れ枝は除外し、植え付けてみました。
本数が少なく淡白な樹形ですが挿し木で増やし9幹か11幹を思考し、矢印部の3本は挿し木です。
接木用ビニールで密閉し保護しました。
樹高の高低に大きな差があるのは、自然界の営みを創造しました。
樹形は、このまま幹、枝共より垂直に上に伸ばして創る予定ですが鉢の鞍馬石は感心しませんので挿し木が発根した次年度に、薄鉢の短冊形で検討します。
肌荒れも速く、古色感も容易に楽しめ推奨樹種です。

4月 杜松穂 2.植え替え後


3. 角度を変え挿し木追加

4月 杜松穂 3.角度を変え挿し木追加

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4月 ツタ(鬼ツタ、夏ツタ) 本鉢へ挿し木

1. 鬼ツタの素材

買い物帰り、民家の塀に拝巡らせた鬼ツタ。
秋の展示に使うべく挿し木を考えました。
2?3枝欲しい旨お願いすると「どうぞ、どうぞお好きなだけ」と言って頂けましたので、20分かけ広い壁から写真の素材を頂きました。

4月 ツタ 1鬼ツタの素材

2. 本鉢に挿した鬼ツタ

鬼ツタは、葉が大きいので左の鉢の様にガッチリした鉢もヒット感があります。
又、右の様に、ツタの見所である紅葉を想定して反対色である青緑色の鉢も紅葉を引き立てますのでお試し下さい。
とにかくツタ類は、活着率が高い種類ですので直接本鉢挿しが速く楽しめます。
4月 ツタ 2.本鉢に挿した鬼ツタ

3. 本鉢に挿した鬼ツタ

夏ツタも同様です。
散歩途中の塀に「オヤ!」と思える枝がありましたので早速頂戴。
口に咥え帰宅。
志水作の紅葉と反対色の緑釉鉢に挿し8日目、もう保護キャップから取り出し棚下で管理。
10日後には様子を見ながら棚上に出しても良いのではなかと思います。
遅くまで保護キャップや棚下管理しますと間延びしますので。

4月 ツタ 3.本鉢に挿した夏ツタ

3月 ウメモドキ (仮称斑入り富士) 挿し木

ポイント:芽出し時

1. 挿し穂A

ウメモドキ 斑入り富士 1

挿し穂Aは、太さ4,5cm位ですが、もう少し芽当りが多ければ申し分ありません。

2. 挿し穂B

ウメモドキ 斑入り富士 2

挿し穂Bは、3cm位の太さですが比較的芽当りが良く挿し木に適しています。

3. Aの挿し木

ウメモドキ 斑入り富士 3

極細枝又は、新芽挿ししてから太くするのも良いのですが、太目の樹を好まれる方は、大きな鉢か庭に植え目標太さの挿し穂つくりが手っ取り早いと思います。
?是非実施して欲しい盆裁つくり?

4. Bの挿し木

ウメモドキ 斑入り富士 4

当然取り木でも良いのですが、次年度以後の挿し穂作りの関係上挿し木をしています。
取り木箇所は、発根後切り離しませんと発芽が旺盛に出ませんので、挿し穂つくりが一年遅れることになるからです。

3月 唐楓 挿し木

1. 挿し穂

唐楓の挿し穂

回転台に刻字した線が1cm幅ですのでそれぞれ3cm位の太さがあります。
太い部分を挿す場合、庭木等の樹勢の良い部分より鉢植えの締まった幹又は、古味のある部分は腐り込みが少なく、高発根率が得られます。

台木からは、回し鋸で切り落とし(水を掛けながら)小刀で切り直しトップジンMを薄く塗付します。

2. 挿し木後

唐楓 挿し木 3-7-2 3

植え土の中心に窪みを付け、1mm程の土を入れ大さじ一杯位入れ(挿し穂と用土の密着性を高めるため)挿し穂を押し付けます。
灌水後アルミ線で挿し穂と鉢を固定し、挿し穂の先を持ち上げても動かない様にするのが発根のポイントです。
後は、風よけ対策と午前中の日照で管理し、伸びた芽はそのまま伸ばします。

3. 挿し穂切り取り後の親木

唐楓 挿し木 3-7-2 3

親木には、ご苦労様でも今後3年同様の挿し穂提供をお願いする予定です。
但し、現在呼び接ぎ中の部分で将来の方向を検討しながら、来年も3箇所の挿し穂作りを考えています。
見ての通り、立ち上がりや根配り等見るべき部分のない畑つくりですので根から全てを使い盆裁にするには、年数を要しますので可能な限り追跡します。

3月 富士桜 挿し木

1. 挿し穂

富士桜挿し木1

がんセンター入り口のウェルディーの緑地に植えてある富士桜は、秋からチラホラ咲き続ける珍種ではないかと以前から期待していたもの。

一枝採取し挿し木をしようと、樹に近づくと根元や、根の部分にヤゴ芽が無数。
植木屋さんが切り込んでありましたのでこの様な挿し穂です。
ですので、花芽は除去し枝はそのままで挿し木しました。

挿し木状態

富士桜挿し木2

枯れ枝や伸び過ぎた枝は切除し、それぞれ小刀で綺麗に切り直しトップジンを薄く塗付して挿しました。
太目の枝は、見苦しい状態ですが今切り込みますと腐り込みにつながりますので、発根して新芽も切り込める、7月中に太い枝の処理をしたいと考えています。

3月 ケヤキ 挿し木

静岡がんセンター内のケヤキ数十本中最良葉性の

1. 挿し穂採取

ケヤキ挿し木1

私は、常時車の中にビニール袋と植木鋏を入れておきます。
走行中に気付いた庭木の枝を頂き挿し木にします。
常々注意を払い上質の植木や珍しい植木の所在を観察しておき、挿し木の時期に頂戴に上ります。
旅先で突発的に厚かましく頂戴することも多く在りますが、自己紹介と頂戴の理由を述べますと皆さん快く採取させてくれます。

2. 挿し穂

ケヤキ挿し木2

この挿し穂は、静岡がんセンター正面玄関のバス停となりのケヤキから採取しました。
特にセンターに了解は得ませんでしたが、バス停でバス待ちの方々に説明。
「ホォーこんなもので根が出るんだー」と感心しきり。
矢印の芽当たり下、3 - 5mmでカットして2 - 3芽残し挿し穂を作りました。

3. 挿し木後

ケヤキ挿し木3

通常植え土に1-2の赤玉土を入れ用土と挿し穂の密着度上げました。
細い挿し穂ですのでこれに合わせた細いアルミ線を巻き付け、挿し穂を安定させます。
巻いたアルミ線の先端が鉢底に当てると挿し穂が安定します。

尚、挿し穂のカット部は用土から5mm位が最適です。
荒風を避け、朝日を充分あてる管理です。
発根が確認できたら、一鉢ずつ植えます。

※結果は100%NG(その他も一次発芽するもその後枯れる)
来年再トライします。

3月 乳銀杏 挿し木

1. 挿し穂

乳銀杏挿し木 1

大きい盆裁から採取した挿し穂です。
採取前に発根剤、HB101等添加した液を作っておき、切除したものをこの中に入れておきます。
尚、この挿し穂は、前年に枝先を追込み芽当たりを多くしますと、発根促進や、盆裁完成時期を短縮できます。

2. 切り直しとトップジン塗付

乳銀杏挿し木 2
乳銀杏挿し木 3

それぞれ小刀で切り直し、トップジンMを塗付後拭き取ります。
トップジン塗付は、発根が遅れ次年度になることも在りますので腐り込み防止に必要です。
銀杏の発根率は100%です。

3. 挿し木と水苔保護

乳銀杏挿し木 4
乳銀杏挿し木 5

この様に処置し、荒風の当たらない、午前中の日が当たる場所で管理します。

3月 唐楓 挿し木

1. 挿し穂を切り離したところ

唐楓 挿し木 1

他の樹種同様、前年の紅葉時追い込み(不必要な枝を短く切り込むこと)をかけておきます。
今年新たに出る新芽の勢力で発根を即すことがポイントの様です。
尚、芽数が多い方が様結果が得られます。

2. 挿し穂の傷口をきれいに削り木質部を薬剤処置したところ

唐楓 挿し木 2

切り離した部分を、切れるナイフで切り直し、トップジンを塗り、更にカットパスターを木質部に貼り付け腐り込み防止をします。 

3. 挿し穂の固定したところ

唐楓 挿し木 3

挿し木は、通常の植え土の中心(挿し穂の切り口が接触する所)に窪みを付け小さじ1杯にミジン(1?1.5mmの土)を入れ、挿し穂を押し付けます。
押し付けた後、充分腰水(鉢ごと水の中に浸けること)をして、アルミ線又は紐で動かない様に固定します。
挿し穂を持ち上げ動く様では、根は出ず枯れてしまいます。

3月 ウメモドキ 挿し木(春挿し)

ウメモドキの春挿しは、新芽(黒くポツポツと芽が出始める)の出始める時期に行うと発根率が良い。

(何の樹種も同じ)皆さん、必ず実施して下さいよ!

1. 挿し穂つくりは、前年に始まる(全てに樹種で)

ウメモドキ 春挿し1

矢印 A から伸びる線上の断面で挿すことを想定して前年の紅葉時枝を全て切除する。
春までに、 B 等の周りに無数の芽が出る。
この新芽のエネルギーを活用して発根させるのです。

ちなみに、 C の切除部は、06年の挿し穂部です。
挿し木は、挿し穂つくりが大事であり、成果を決定します。

2.他の挿し木同様の固定、水苔による保水状態

ウメモドキ 春挿し2

春挿しは楽しいですよ。
このままほったらかして置き、紅葉時枝を 5mm 位残して置きますと、実が成ります。
挿し木20ヶ月で展示会に出したことがあります。

是非、皆さんも実施下さい。
5本挿したものは、5本共発根します。

2月 唐楓 挿し木 中間報告

1. 現状

唐楓 挿し木 中間報告1
前年から、庭に植えた唐楓の一部を取り木又は挿し木する計画をたて、その部位を結束して、木つくりをして置きました。
取り木でも良いのですが、来年の部位つくりの関係がありますので切除し、挿し木をすることにしました。
矢印部の切り離し部はトップジンMで保護します。

2. 挿し木の位置

唐楓 挿し木 中間報告2
作業台に1センチピッチのセンを引いてありますので、太さが想定出来ます。
太いところは、4センチ位あると思います。
これ位の太さを挿し木する場合は、前年に結束しておくと発根率が上ります。

この時期切除して挿し木する場合、木異質部への腐り込み防止策(トップジン、カットパスター等で)が必要です。

3. 挿し木の位置

唐楓 挿し木 中間報告3
用土は、各々が使用しているものに、1〜1,5ミリの細かい土を切り口部に置き密着性向上を図ります。
当てゴムを付け針金で鉢と挿し穂を固定し、親指大の水苔を2〜3箇所置き乾燥防止し、保護室で管理します。
又、写真では、判り難いのですが枝先は、ピンク色に変化しつつありますが春の挿し木の適時と思います。

2月 ツタウルシ 植替え及び挿し木

1. 現状

ツタウルシ植替え及び挿し木1
ツタウルシは、小枝も小枝ものり易くプチ盆裁に適しています。
又、どの地域でも紅葉が綺麗で楽しいものです。
マトメ植えしたものですが見ると、癒着しています。
私にとって新しい発見でしたが分けてくれた方は随分前から解っていた様子でありマトメ植えをしてありました。

2. 癒着部分及び用土解し後

ツタウルシ植替え及び挿し木2
ツタウルシ植替え及び挿し木3
用土を解し間延び部分は、切除し挿し木にします。
根伏せの経験がありませんので実施します。

3. 挿し木

ツタウルシ植替え及び挿し木4
1. の写真の矢印部分ですがツルものですので長めの挿し木トライ

4. 植え付け

ツタウルシ植替え及び挿し木5
癒着した部分は間延び枝を切除て、植え付けました。
現実的には、新たに発芽する芽を活用することになると思います。
ツタウルシは、紅葉がきれいですので楽しい樹種です。
持ち込みますと葉も少し小さくなります。

2月 ピラカンサス(橘もどき) 挿し木作業

1. 現状

ピラカンサス挿し木作業1
大きな盆裁の枝先でプチ盆裁に適した部分を選択し、挿し穂を作ります。

2. 挿し穂(本来前年11月位に葉刈り要)

ピラカンサス挿し木作業2
挿し穂の切り口には、トップジンMを塗付し、更にティシュで拭き取り塗膜を薄くします。

3. 作業手順

ピラカンサス挿し木作業3

  1. 鉢底から針金を通し、挿穂に巻き付けます。
  2. 用土をゴロ土、植え土の順で入れ、真中を凹部にします。
  3. 凹部に1ミリの土を入れ切口の隙間を減らします。
  4. 鉢底からの針金を引き下げ鉢に固定します。鉢に針金を押え付けて。

4. 挿し木後

ピラカンサス挿し木作業4
発根剤及び活性剤を適量入れた水に沈め充分な灌水をします。

5. 保水保護

ピラカンサス挿し木作業5
更に、発根剤及び活性剤を適量入れた水に浸した水苔を挿し穂の近くに置き保水します。

6. 管理場所

棚下の午前中日照する場所、必要に応じて風除け保護要す。
水苔は発芽箇所に近すぎると新芽が腐るので、芽当たり部に接触不可。
保護キャップ等あれば、水苔はなくても可。

11月 植木モミジ 取り木、挿し木準備作業

取り木、挿し木作業適時 芽吹き時直前の2月下旬
取り木外し適時 葉の固まった6月上旬〜中旬

1. 挿し木や取り木の準備

モミジ挿し木準備1
このまま春まで放置しても良いもですが、狙い通りの枝数及び枝の強弱を確保するため、現状把握をします。
盆裁業者さん等に、良い性質のモミジを選択してもらい、庭の隅か大きめの鉢植えにして置き、毎年この作業を実施すれば毎年増えていきます。
増えるのも楽しみの一つです。

2. 葉透かし

モミジの挿し木準備2
同日 葉透かし(不要な派を除去すること)をして芽確認します
現状把握は、
1.見たい場所を見易い様に懐の葉を除去します。
2.芽当たりB部の状態を見て枝を切り込む位置を決めます。

尚、A部の傷は今年の6月取り木外した傷です。
これ位巻き込んでいれば、焼け込む(腐りこむこと)ことは少ないと思います。

3. 切り込み(枝を写真の様に短めに切ること)後の様子

モミジ挿し木準備3
切り込みの必要性は、
1.来春伸びる新芽をそのまま伸ばすのではなく、枝の強弱及び曲つけ(曲げて自然の姿に近づける)し易くするためです。
2.切り込んだ枝の周囲から多数の新芽が得られます。
3.将来の枝の位置、枝数、枝太さ等を観察し可能な限り、曲付けをしながら取り木をするためです。
4.A〜A、B〜Bの部分で取り木又は、挿し木をします
5.挿し木の場合は、秋までそのまま伸ばし、取り木の場合は、新芽への曲付けが可能です。

※盆裁つくりには、事前準備が必要です。狙いを定め樹勢(樹が丈夫のこと)を確保

3月 モミジ(嵐山) 挿し木

1. 挿し穂

モミジ(嵐山)の挿し木1
上の矢印の芽は、伸びすぎです(元から切る)。
下の矢印の芽が挿し木の適時です。

これは、11月の植木モミジの取り木、挿し木準備作業の準備を経て今に至っています。

※なぜ、芽当りを増加させる必要があるのか?
緑色の枝本体からの発根は、期待できません発根は、芽当り部分に出易いので芽当りの多い挿し穂つくりが挿し木の基本と考えています。

2. 挿し穂つくり

モミジの挿し穂
モミジ(嵐山)の挿し木2
芽当りの多い部分を鋸で切り取り、ナイフで切り直しトップジンMを塗付。
この時、1.の写真の発根難部分が在ると発根しません。

3. 挿し木後

モミジ(嵐山)の挿し木4
通常の植え土に挿し穂の切り口が接触する部分に1〜1.5ミリの用土を入れ挿し穂の密着性を高め、荒風を防止して日に当てれば対外の雑木は根が出ます。

モミジ等の挿し木は、芽の無い部分からは根が出にくい傾向にあります。
植物の生理上芽当りの多い部分に根が出易い様です。
但し、どこを挿しても発根する木もありますが基本は芽当り箇所から発根させると狙い通りの根が得られます。

2月 長寿梅 挿し木に近い植替え

1. 現状

長寿梅挿し木に近い植替え1
根上りの長寿梅ですが、サイズ及び枝の強さが拮抗しているところ目に付きます。
矢印部分で切除するのも方法ですが、それは、次のステップとして拮抗した太さの枝では、何処がいけないのか検証します。
尚、カットパスターペーストを塗付した枝は、既に切除されていましたので切り返して保護剤と塗付しました。

2. 切除と保護剤塗付

長寿梅挿し木に近い植替え2
矢印の部分は根ですので植替えと言えば植替え、挿し木と言えば挿し木ですね!
カットした幹の木質部には、カットパスターペーストを塗付。
矢印の根のカット部はトップジンMを塗付し挿し木します。
注:2月下旬以後この作業をする場合ベンレート等マイシン系で殺菌すると病気対策になります。

3. 挿し穂の固定

長寿梅挿し木に近い植替え3
挿し木は、挿し穂の固定がポイントです。
挿し穂の何処を掴んで持ち上げても挿し穂が動かないことが発根の前提です。
矢印の部分にゴムをあて1,2ミリのアルミ線で鉢と固定しました。
メネデールとHB101を添加した水に浸けた水苔を2箇所置き保水しました。

2月 マユミ 植替えと挿し木

1. 現状

マユミ植替えと挿し木1
幹の太さは、4センチ程であり予定太さに達しているが枝枯れ、交差根があり、又、幹がまん丸で味わいに欠ける。
よって、矢印の不要枝は、挿し木にすることとした。
又、枝枯れは根の損傷が想定され、用土も不適合なものがしようされている。

2. 不要枝切除後

マユミ植替えと挿し木2
矢印部の根を切除幹に動きを付ける。

3. 底根の切除状態

マユミ植替えと挿し木3
底根を切れる小刀でカットし、トップジン塗付。

4. 切除した枝の挿し木

マユミ植替えと挿し木4
挿し木と水苔で保護。HB101+メネデール浸ける。

5. 植替え後

マユミ植替えと挿し木5
現状の樹高3センチ、根まわり4センチであり、想定樹高7センチとして、内径6センチ、外径7センチの鉢を選定。
花は、赤とのことでしたのでもう少し緑に近いものが反対色ですので良いですね!
植え位置は右=1、左=1.6の黄金比です。
用土飛散防止のネットは、用土が団粒構造になったら取り除きます。

2月 アケビ 挿し木

1. 挿し穂を親木(元木)から切り離すところ

2月アケビの挿し木1
発根率が良い樹種ですので、可能な限り古い枝を挿します。
100本挿せば100本共発根します。
発根しないものは、作業や管理に手落ちがあったということです。
コブと言うコブ全てを挿して下さい。全て発根します。
鋸は回し鋸が便利です。

2. 挿し木したところ

2月アケビの挿し木2
2月上旬の挿し木ですので今後、霜などが予想されますので表面に矢作砂を載せ、霜柱対策をしました。
置き場は、朝日が2〜3時間当たる室内が良いです。
当然アルミ線で挿し穂と鉢を固定します。

3. 挿し木1ヶ月後の状態

2月アケビの挿し木3
挿し木1ヶ月後に状態です。
このまま一年伸ばし続け、鉢が割れる位根も伸ばしますと花芽が速く来ますが、実付きの良し悪しが在りますので考慮下さい。
ちなみのこのアケビは、五葉アケビ(葉が5枚あるアケビ)ですが他に三つ葉アケビがあります。

2月 モミジ 分割つくり

1. 分割前の状態

モミジ分割つくり 分割前の状態
2007年の挿し木したものですが発根(挿し木や取り木で根が出ること)状態等もイマイチ!いろいろ考えた末の答えは、A?Aで分割して優しさのある株立ち(根元から何本かが幹の様をしている樹姿)のすることにしました。

2. モミジ分割つくり 分割後の状態

モミジ分割つくり 分割後の状態
根の状態も充分ではない上に分割された部分に根は、ありませんがきれいにカットし直し、トップジン塗付後カットパスター貼り付けをし、腐り込み防止をしておくと後年発根します。

3. モミジ分割つくり 植え付け状態

モミジ分割つくり 植え付け状態1
モミジ分割つくり 植え付け状態2

通常に植え付けて問題ありません。但し、分割した片方には、全く根が無いわけですから、その部分には、水苔(入梅過ぎ迄)を置き保護します。
鉢サイズは、左が6.5センチ、右は6センチです。

4. 2008年9月10日現在

momiji-5.jpg
momiji-6.jpg
momiji-7.jpg

古枝挿し

ポイントは、芽あたり部から根が出るので芽当り増加の対策を。

唐楓、モミジ共発根し易い樹種です。
狙いの樹形をイメージし、何処から根を出すのか決め、この部分に芽あたり条件を作る。

【唐楓の挿し穂】
唐楓の挿し穂

【モミジの挿し穂】
モミジの挿し穂

ウメモドキやキンズ、クチナシ等は、木質部と木皮の間からも根が出る発根容易な樹種です。
発根が容易と云っても狙いの樹形に添った挿し穂作りをお勧めします。

【ウメモドキの挿し穂】
ウメモドキの挿し穂

【キンズの挿し穂】
キンズの挿し穂

発根率向上のポイント

  1. 芽当りのある部分を用土に接触させ発根を即す。(基本条件)
  2. 芽当りを多くして、発根確立を上げる。
  3. 挿し穂を固定する。(必須条件)
  4. 木本体等芽当りの無い部分は切除する。(枯れこみの原因)
  5. 荒風を当てない。(乾燥防止)
  6. 日に当てる。(朝日?午前中の日照で)
  7. 灌水する。
  8. 我慢する。

事前準備

  • モミジ、楓、ウメモドキ等は、前年紅葉時。
  • キンズ、クチナシ、チリメン等の温暖樹は、夜の気温平均5℃以上になってから。