キンズアーカイブ

6月 キンズ 挿し木

※ キンズつくりのポイントは、寒い時期には、いじらない

1. 挿し穂を親木(元木)から切り離すところ

太さ3,5cm、幹にねじれがあり将来が楽しみな位置を鋸で切断。
(より斜めに切断すれば5cmの太さに見える) 最大太さ5cm位の経験あり。
各位、必ず実施のこと。
いずれにしても①樹勢(樹の勢い)が良いこと。
②作業時期が、最低気温15度以上のこと。これを励行すれば容易な樹種です。
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2. 挿し穂の傷口をきれいに削り薬剤処置したところ

切断後小刀できれいに仕上げ、トップジン塗付、続いてカットパツター貼り付け。
(枝の切除部は、カットパスターペーストで可)
挿し木する位置の検討。
※ 挿し穂径の2倍程度の鉢であれば、直接化粧鉢へ挿し木しても発根例あり。
※ 必ず出来ます実施して下さい
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3. 挿し穂を固定したところ

挿し木用土粗め(私の用土尺度。
粗め=1,5mm~4mm、細かめ=1,5mm~3mmと決めています)挿し穂が動かない様固定。
鉢は2号、表土上に2箇所、水苔小指大を置き保水します。
防風対策すれば午前中日照する棚上OKこの時期実施しますと挿し木三週間後、鉢底から根が確認出来ます。(発根100%)
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同じ木、同じ作業の資料が有りました。

キンズは夜の気温が15度~20度の時期に行うと植え替えや挿し木、取り木、針金かけ等何をやっても良いのですが、春植え等寒期の作業を極度に嫌う樹種です。
今回は、4月30日と少し早いのですが挿し木後、盆栽小屋内に置き保護し、5月下旬以後の適時に実施する方への参考に出来ればと考えました。
取り木ではなく挿し木をしようとした理由は、根元部分は発芽させ次年度の挿し穂つくりを行い、次々年は根元からの樹つくりをしようと考えたからです。

1、素材

昨年、浜松の講習会の折、即売場で求めたものです。
確か5千円を4千円にして頂いたものですがしたから枝は無く、団子状に出ている枝付き部が太く、株状の挿し木又は取り木に適していると考えました
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2、挿し穂つくり

写真2は、幹太さ3cm不要枝及び不良
枝を切除しカツトパスターを塗付、
鋸で切り離した挿し木部はナイフで綺麗にカットしてトップジンを塗付、木質部にはカットパスターを貼り付けました。
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3、挿し木と固定

用土は赤玉8、桐生2で1~4mmの粗めを使用し、水はけと水持ちの双方を狙いました。
挿し木部には、赤玉1~1,5mmの微粒を5CC程入れ、ゴムをあてアルミ線で鉢と共締めし固定しました。
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6月 キンズ 植え替え

2007年6月4日、キンズつくりの名士である春日井の毛利さん宅を訪問、キンズつくりのアドバイスを得る。
紹介者の田中さんと共に同行した高井さんは、成績がいま一つのキンズを回復させて貰うため持参した。
総数奇屋の邸宅とはアンマッチのTシャツに草履履きの氏は屈託の無い笑顔で迎えてくれた。

早速、高井さんのキンズを診断。
良い木である随分出しただろうと云いながら鉢抜きし根の状態を確認して曰く、根の状態が健康ではない(白根はあり)根に充分酸素が供給されていないためである。
葉厚が薄い過保護な管理のためである。等であつた。

過保護はあらゆる植物に共通するが生命力を低下させる。
冬の管理もムロ等に入れず軒下にあくレベルである。
作業時の気温、根への通気性、肥培を考慮すれば、キンズは非常につくり易い樹種とのことであった。

然し、私の盆栽はプチサイズ。
ムロ入れ時の川柳は、「極寒の野山の木々は寒かろう、布団に入れよ、君は特別」であり実践には勇気がいる。
氏の話の中に、「国風展に出展するとき鉢替えをする人がおり、ことごとくキングを痛めてしまっている」があった。
クチナシやチリメン桂等と同様寒さに弱い樹種は、気温の低い時期に植え替えや針金かけをすると生育が極度に低下した経験がある。
要は、寒冷時に植え替えや針金かけ等樹を劣化させる作業をしなければ良いことになる。

これ等をヒントに、次ぎの事項を念頭にキンズつくりをすることにした。

ポイント
・寒冷時の全作業(植え替え、鉢替え、針金かけ、切り込み等)厳禁。
・培養管理は、クチナシ同様各作業は夜の平均気温15度以上で行う。(富士で5月下旬)
・用土は、赤玉中心の1ランク粗めを使用する
・灌水頻度を高め、酸素供給を豊富にする。(水切れによる根枯れ厳禁、過水による根腐りは少ない。特に鉢底の水切れ注意。同行の田中さん談)
・施肥は、クチナシの1、5~2倍とする。
・切除部全てトップジン消毒をする。
・黄ばみ等根傷みが発生した場合ベンレード等マイシン系消毒をする。

病虫害
・柑橘類であり、黒点病、灰色カビ病が予想される(ストロビードフロアブル等で殺菌)
・サビダニも予想される6~7月ミカンサビダニ用で殺虫
・意外と多いのがエカキ虫です。5~9月オルトランで殺虫

1、植え替えの実践

(1)植え替え前の観察

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キンズ種木を購入。根洗いをして観察。
古枝の根元に新芽が確認される。
枝先の葉裏にエカキ虫、根の部分的な黒い部分は、培養中の異常が考えられる。古枝の劣化部と比例するものと思われる。
根は、長く残され先端は又切りで切除されたままであり黒い腐りが見られる。
本来は、植え替え1年が経過すれば切除部は完全に肉巻きするはずである。
立ち上がり部は適度な曲があるものの根が長くプチサイズの鉢に収まらない。

(2)方向の決定

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左の幹部は、そのまま使用。
中下の根は、根伏せと接木を同時実施。
右の根も同様根伏せと接木を同時に行い石付けにすることにした。

それぞれ、面白いプチ盆栽が出来るはずであるが初めての経験である。
クチナシと同じであれば可能と考える。

(3)作業の実施

それぞれの切除部は、鋭敏なナイフで綺麗に仕上げトップジン消毒しした。

写真(1)
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写真(2)
根伏せと接ぎ木を同時にやったものである。ズミ等では実施してみたが成功した事はない。
これが可能であればキンズがつくり易い樹種である証明となる。
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写真(3)
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(4)植え付け後

それぞれ植え付け、用土が粗いため初期乾燥防止のため水苔保護。 6-1-kinz-6.jpg

(5)葉のある枝葉全て挿し木

2、植え替え後の管理

(1)植え替え直後の1週間は、テントハウス(天窓を開けた状態)で保護。
(2)同、1週間後から日当たりの良い場所に置き、保護キャップの上部カットしたもので保護。
(3)ブロックの上に置き、鉢の温度を上げ乾燥を促進して灌水回数を増加させ、酸素取り込み量を増やして代謝を促進させる。
(4)施肥は「おまかせ」「IB化成」「水肥ハイポネックス」それぞれ区分比較する。

3、生育観察(良否目安)

(1)鉢底から出た根が白色であること。
(2)葉は、濃緑色であること。

4、第1回経過報告(2007/9/27現在)

写真は左から写真(1)、写真(2)、写真(3)の経過である。
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写真(1)は最も樹勢も良く鉢底より白根が見える。
写真(2)は緑葉では在るが鉢底の根は確認出来ていない。
写真(3)は根伏せ&接木品であるが活着しなかった。
右端の木は「根伏せと接木が同時に出来れば真につくり易い樹種」を証明したものである。

失敗品5本は、接ぎ部の台木の切断部を接ぎテープで保護せず水苔保護したもの。
成功品5本は、写真10の様に台木の切断部分に接ぎテープ保護、更に水苔保護したものでした。

後日ミカン農家の方に聞いたところ「そんなこと常識だ」と言われました。

6月 キンズ 挿し木2

1.5月23日植替え品

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アンダーラインの部分で挿し木をし、接ぎに出た芽で呼び接ぎを行いキンズ本来の縦縞に添った樹つくりをする予定です。
何の樹種でもいえますが古さが来ると幹に現れる縞に添わせた樹つくりは、盆裁つくりの基本でありこの縞に逆らった樹は違和感があります。
ちなみに、縦縞を速く出したい場合いは、捨て枝等で木を太らせる(形成層を厚くする)と良い結果が得られます。


2. 挿し穂切り離し後

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3. 挿し木

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小さな蒼い芽が出始めましたので、挿し木の適時です。本体は呼び接ぎでつくります。

4. 挿し木後の管理

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6月に挿し木が適時のキンズ等は、写真の様に一日中日の当る場所で良いです。
春挿しの時は、3cm程の孔ですがこの時期使用するものは、10cm程の孔に拡大してムレ防止をします。

5. 棚上の保護キャップ

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写真5の様に土鉢を裏返しにし、風で飛ばされ防止対策と真昼の日照対策として行っていますが悪くありません。

6月 キンズ一番針金

5月 キンズ 挿し木の継続

1. 5月5日追込み

の部分で芽当りを欲しいがそれは、次のステップにし、先ずは、現存の芽でつくる様植え付けます。
出来れば、横の矢印か縦の矢印の部分に芽当たりを期待して、植え付けをしました。

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2. 6月7日一番針金と呼び接ぎ

木肌を洗浄後、植え透け後再芽当り部に針金かけと○の部分に呼び接ぎをしました。

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5月 キンズ 植え替え、挿し木、根伏せ

1. 現状

浜松の盆裁仲間に依頼してあったキンズをわざわざ届けていただいた。
葉には黄ばんだ部分があるので根の痛みが想像出来る。
左下の写真の様に用土の水はけとの関係と思われ、
根洗いすると右下の写真のように根先が痛んでいました。

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2. 良いとこ取り

各部分を観察し、本体の植替え、根伏せ部分の探索、挿し穂の選択で重要な部分は、最適な姿、挿し木は芽当りの数等がプチ盆裁の場合最重要項目です。

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3. 作業後

それぞれの作業は、キンズの特性を考察して実施ました。

A. の植え付けは水はけ向上を考察したザル植えが最良と判断。

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B.の根伏せは、ビニールポットを使用し狙いの位置への発芽誘導を思考した。

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C. 挿し木は芽数の多い部分を行いました。

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尚、キンズの挿し木の発根実績は3cm位の太さが最適です。

5月 キンズ 挿し木

ポイント

  1. 根の部分に酸素供給量を多くさせる用土又は灌水方法を工夫のこと。
  2. 夜の気温15℃以上で各作業のこと。
  3. 寒期は消毒以外、一切の作業厳禁。

1.素材

素材7本を2万円で購入。
状態から見て根の痛みが在る様なので先ず、ベンレード消毒(浸け)します。

5月 キンズ 挿し木 1
5月 キンズ 挿し木 2

2.追込み

不要枝、間延び枝切除。
プチ盆裁は普通の小品盆栽とは枝分かれのピッチが異なり、そのまま使用出来る枝は在りません。

5月 キンズ 挿し木 3
5月 キンズ 挿し木 4

3.挿し木と保護

先端部の芽当りは切除して挿し木にします。
根元及び根の部分は、特長を活かしながら根伏せをします。

5月 キンズ 挿し木5
5月 キンズ 挿し木 6

古枝挿し

ポイントは、芽あたり部から根が出るので芽当り増加の対策を。

唐楓、モミジ共発根し易い樹種です。
狙いの樹形をイメージし、何処から根を出すのか決め、この部分に芽あたり条件を作る。

【唐楓の挿し穂】
唐楓の挿し穂

【モミジの挿し穂】
モミジの挿し穂

ウメモドキやキンズ、クチナシ等は、木質部と木皮の間からも根が出る発根容易な樹種です。
発根が容易と云っても狙いの樹形に添った挿し穂作りをお勧めします。

【ウメモドキの挿し穂】
ウメモドキの挿し穂

【キンズの挿し穂】
キンズの挿し穂

発根率向上のポイント

  1. 芽当りのある部分を用土に接触させ発根を即す。(基本条件)
  2. 芽当りを多くして、発根確立を上げる。
  3. 挿し穂を固定する。(必須条件)
  4. 木本体等芽当りの無い部分は切除する。(枯れこみの原因)
  5. 荒風を当てない。(乾燥防止)
  6. 日に当てる。(朝日?午前中の日照で)
  7. 灌水する。
  8. 我慢する。

事前準備

  • モミジ、楓、ウメモドキ等は、前年紅葉時。
  • キンズ、クチナシ、チリメン等の温暖樹は、夜の気温平均5℃以上になってから。

培養作業目安表 実物類:キンズ

キンズ
分類 葉物類 実施時期(於:富士市)
植替 頻度 若木⇒2年  古木⇒3~4年 6月 ※粗め用土で 深切部トップジンを 夜温度15度以上で 寒期作業厳禁
根切除 2/3、走根は元で 1/3、走り根
使用土 赤玉8、桐生2 赤玉8、桐生2
使用鉢 仕立鉢、 鑑賞は色物鉢
鉢サイズ 模様木、直幹木⇒樹高と同程度、株立ちその他⇒樹形に適合させて
植位置 鉢の空き寸法は流れ方向1,6、反対方向1、前後1:1
植替後 防風、表土乾燥対策
整姿 樹寸法 模様木⇒上下1:左右1,6直幹木⇒上下1:左右1,4比、 株立ち⇒上下1:左右2
針金 培養中⇒アルミ線、※寒期作業厳禁 6月~7月
枝引き 培養中⇒アルミ線、 随時
芽掻き 挟み又はピンセットで 随時
芽摘み 挟み又はピンセットで 随時
芽切り 結実確認後 10月
葉刈り 鋏で 6月まで
葉透し 混んでいる部分を 随時
葉切り 太さ調整 随時
力枝 幹、枝の太さ調整 随時
呼接ぎ 新芽を 6月
灌水 水かけ 表土乾かぬ前に ※根に酸素供給多くさせる 各自頻度設定
腰水 浸け置き不可 -
葉水 好む 夕方
置場 日照好む、通風好む ※冬季保護 -
肥料 中量(比較的肥料好む)(燐酸主体の肥料) 5~7月、9月
害虫・殺虫 エカキ虫他 毎月、5月末と7月末の産卵、孵化時2週連続
オルトランと他2種類を交互、石灰硫黄合剤
病気・殺菌 根腐り(根枯れ) 同上
ベンレードと他2種類交互、石灰硫黄合剤
交配 不要 ※花に雨水をかけない -
増殖 実生 可能、実施経験なし 採取時又は春
挿し木 古枝挿し ※推奨事項 6月
根伏せ ※推奨事項 6月
取り木 結束、環状剥離 ※推奨事項 環状剥離6月
接木 樹形変更 6月 呼び接ぎ