2月アーカイブ

2月 カイドウの取り木

平成19年1月27日、富士山盆栽組合の主催するオークションに久方ぶりに出かけた。
目的は、アケビの挿し木になる様な種木(盆栽培養の原材料)を入手することであつた。

下見(オークション開始前狙いの品を見定める)中、アケビと共にガレ(樹勢が低下している)ているが、なかなか古色感のあるカイドウを目にした。
同席した盆栽仲間のK・I氏もこれと、これはものになるね!私も同感であった。

オークションが開催され、幸い狙いの2本を入手することが出来た。
価格も安価な6千円であったのは、氏が私の購入希望を察知し、競合価格を提示しなかったためで在った。
氏に感謝すると共に、今後の培養責任を痛感した。

1、現状調査

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写真1のカイドウは、樹高50cm程の比較的若い樹であるが(ズミにカイドウを接木したものと思われる)大型盆栽愛好者としては、珍しく枝先部分の追い込みが実施されている。
然し、枝先その他には枯れ枝が多く水切れかと思われ、このため写真2~5は共に古色感のある取り木に絶好な箇所が存在している。

平成17年4月3日の植え替えと思われる表示があるので、今後3年位は植え替えをせず、取り木、枝つくり、取り木&挿し木を繰り返して行く事とした。

枝のガレが見えるため、今年度は取り木のみ実施することとする。又、細枝の取り木であり剥離&結束法を採用することとした。
合わせて、肥培、新芽針金の力点を置き、今年の取り木には実をつけないこととする。

写真2~は、主要取り木位置であるが、その他細物でミニに適した箇所は20数箇所を有する。

写真2は3箇所取り木予定
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写真3は5箇所の取り木予定。
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写真4も5箇所の取り木が可能である。
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写真5,6共取り木の箇所は多い。
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今年の秋には20鉢以上のプチ盆栽が鉢上げされるはずである。だから、プチ盆栽はやめられない。
仲間の喜ぶ顔が目に浮かびます。

2、カイドウ取り木作業

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①取り木(挿し木)溶液の建浴
水    =500cc、メネデール=5cc、HB101=2~3滴後攪拌する

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②水苔を溶液に浸ける
(乾燥水苔は強く握り、溶液の中で離すと水苔に液の浸透が速い)

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③水苔を1cm程にカット

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④水苔をカットしたところ

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⑤取り木箇所の選定

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⑥鋏及びナイフで皮の部分を剥離する

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⑦剥離部に取り木液を噴霧し保水

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⑧剥離部をナイフで仕上げ、針金を3周巻き、形成層を遮断する

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⑨剥離部に水苔を付ける

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⑩保護ビニール(黒)を覆い下の部分を縛る。この時、水分が抜けるレベルに縛り、水苔を剥離部分に当たるように整える

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⑪保護ビニール上の部分を縛る。
この時、下より強く(微かに水分が浸入するレベル)縛る。
尚、下部の縛った部分より下部にビニールが下がっている場合は、一番低い部分に孔又はスリットを入れ水溜り防止をします

これが一連の取り木作業です。黒いビニールのの方が、発根は良いようです。
又、保護ビニールの中に水が溜まると発根を遅ららせるのと共に発根した根を腐らせることがあります。

3、切り離しの時期

切り離しは、発根した白根が茶色に変わってから行います。
旺盛な根はビニール袋を突き破り出て行きます。
又、水苔除去は、根を脱落させないように丁寧に行う。

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写真右はカイドウの取り木の全容です。
全41箇所の今後の経過は、随時報告します。

07,3,1現在

4、第1回経過報告

07年8月29日、取り木外しの実施。
時期的には少し早いが来年の取り木箇所つくりのため切除した。
結果は。41箇所取り木中完全発根は15本、不完全発根9本、枯れ落ちは20本で在った。

特に下向き枝は、殆んど枯れ落ちてしまった。
ガレ木であるためある程度予想はしていたものの発根率50%はであり、今後取り木をする場合は、事前に下向き枝を上向きに矯正しておく必要がある。

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・鉢上げした取り木

写真上の右端は、別の若い親木から取り木したものであり、その他は該当の古木から取り木したものである。
幹の古さも適度にあり花芽も確保されており、右端のものとは大きな差があり、結実すれば鑑賞に堪えるものと考える。
07,9,17現在

2月 驚嘆の「石化チリメン桂」

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盆栽世界2007年1月号で紹介された、珍品「石化チリメン」を目にしたときの驚きと、珍品とは云え、江戸時代の古くから存在していたものに小品盆栽を趣味にして34年を経て初めて出会った不思議を覚えた。

早速、情報豊かな埼玉県や東京都在住のきらく会原氏と菊池氏に電話を入れ、「こんな珍品あったのかい?」。
答えは、両氏とも「始めて見たよ!まだまだ知らないことがあるね!」の回答であつた。
そして、「何十年やっても、まだまだ勉強することは多いねー」と、共に気持ちを新にすると共に、永く培養に勤めた関係者に敬意を覚えた。

幸い、盆栽世界愛読者限定「石化チリメン」特別誌上頒布応募」があり、早速申し込んだ。
今日か明日かと、待つこと2ヶ月、幸運にも写真2の「幻の石化チリメン」をゲットすることが出来、平成19年2月2日待望の「石化チリメン」と対面することが出来た。
早速、大事に育て多くの友人に分けるべく培養計画を立てた。

1、ベンチマーク(基点)

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入手時のまま。
石化作用とは、生物の遺骸に炭酸石灰、珪酸等が入り込んで、元の組織を置換し、硬くする作用と言うが、ここでは、幹より吐出している部分を石化部と単に呼ぶことにする。

石化部分の葉は小さく石化しない部分は、通常のチリメン桂と変化はない。
又、鉢抜きして判る範囲の用土は、赤玉3~2ミリ。表層は1ミリ。
植え土の中に若干の鹿沼土が見える。

又、石化の無い部分を見ると、他のチリメン桂に勝るとも劣らない葉性である。
現状を数値的に表すと、①樹高:91ミリ。②葉張り:155ミリ。③立ち上がり部:径6,85ミリ。④立ち上がりより20mmの部分の幹幅:27,8ミリが概要である。

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写真3は、樹高10m位の桜の中程に、他の枝には見られない枝の多い部分が在る。これは、近くの宇多利神社の桜、染井吉野である。
私が勤務したビヨンズ(株)の事務所前の桜にも、この様な突然変異的部分があった。(てんぐす病?)
しからば、何故この様な変異が発生するのか?不思議である。
解明を思う時、写真で可能な限り、表し、諸兄、諸姉のアドバイスを得る以外に方法見当たらない。

よって、写真で表せる全てを伝え、教えを願うこととした。

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写真4で注目すべきは、石化部分の葉はが、他と比較して小さいことに在る。

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写真5は、写真4の葉の小さい部分を左側から拡大撮影したものである。

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写真6は、写真5の裏側から撮影したものであるが、石化部は平幹状であり、側面から見ると1,2ミリの厚さであり力量感に欠ける板状である。
又、板幹の部分には数珠状に繋がる芽当たりが見える。

ここで、石化の定義を考えてみよう。
「①生物の遺骸に②炭酸石灰や③珪酸が入り込む」との事である。

想定される部分は、該当する直接部分なのか?又は根なのか?考えるだけでも楽しい。
植物の生理から想定されることは、根の異常が幹や枝に現れるのが一般的である。

然し、何らかの刺激により枝葉が萎縮してこの様な状態になるのかは、現時点では解明出来ない。
今後、図書館での調査か農林試験場への問い合わせ、結果が得られれば追記することとするもののこれらが外面で観察出来る全てである。
然し、この状態(現象)を石化と云うべきか非かが問題として残るものの、次のアクションは起こすこととする。

2、現状把握(予定項目)

(1)提供先への聞き込み
(2)根と石化部の関係
(3)用土(PH等特に鹿沼との関連、鹿沼土は根に刺激を与えるといわれている)調査
(4)その他

3、仮説の検証

検証に欠かせないのは検体の確保である。
外面的検証は入手した親木(写真1の全容)の各枝で可能である。
根及び用土や培養法、使用薬剤等による検証の検体は、挿し木で増殖させることとする。

(1)親木での検証
 イ、指定の部分を切り込み
  ①そのままに放置する
  ②殺菌剤トップジンを塗付する
  ③成長調整剤スミセブン50倍、100倍、200倍、を噴霧する
 ロ、切り込まず伸ばす

(2)挿し木で増殖後の検証(検体は検証事項毎N=5以上とする) 
 イ、用土調査(標準的植え土+鹿沼土10%、20%、50%)
   鹿沼土検証理由は、根に刺激を与えると聞いたことがあるため
 ロ、肥培調査(N主体、P主体、標準肥おまかせの増減、三菱化成IBの増減)
 ハ、用土への検証
  ①成長調整剤スミセブン(300倍)の投与
  ②炭酸石灰の投与(炭化カルシュームを含む温泉か鉱泉水で良いはず)
  ③珪酸の投与(塩酸にレンガを浸け、堆積物が出来れば多分珪酸)
 二、枝葉への検証
  ①成長調整剤スミセブン(50、100、200倍)の投与
  ②炭酸石灰の投与
  ③珪酸の投与
2007年2月3日現在

4、葉刈りの実施と調査

石化チリメンは、通常チリメンより芽動きが10日程遅い更に石化部分が芽動きは皆無。よって石化部の葉刈りは(一部実施)芽動き時まで待つこととした。
(1)葉刈り実施で解ったこと(感じたこと)
  ①葉の脱落抵抗は、石化部と石化以外部では石化部が劣る。
  ②石化以外部の枝は、培養管理及び樹齢に関係する部分は在るものの通常チリメンと比較し、弾性に劣り容易に欠損する。
  ③斑は、写真4でも判別できるが春になり葉が緑をおびてきたため鮮明に判別出来る。これは通常のチリメンには見られないが藪チリメン(丁花桂の変形)には、同様の斑が見られる。
2007年4月9日

5、挿し木

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(1)既に石化している部分の挿し木
写真7は石化部分の挿し木、樹高3cm程の超ミニサイズが可能と思われる。
間延び部分は更に分割し、1~3cmの挿し木14鉢。
2007年6月8日実施。

実施時期的には、もう少し速いのが好ましいと思われるが楽しみである。

2月 アケビの古枝挿し

平成19年1月27日、富士山盆栽組合の主催するオークションに久方ぶりに出かけた。
目的は、アケビの挿し木になる様な種木(盆栽培養の原材料)を入手することであつた。

下見(オークション開始前狙いの品を見定める)中、30cm程のアケビに目星を付けた。
同席した盆栽仲間のK・I氏もこれはものになるね!私も同感であった。

オークションが開催され、幸い狙いの入手することが出来た。
価格も6千円で落札しそうであったが、6,500円の追随者が出たため8,000円に高飛びして入手した。
落札推定価格を12,000円に考えていたので随分得をした様な気がした。

1、現状

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写真1は、カイドウの取り木偏で紹介した樹と同じ方が所蔵していた様子であり、枝打ちは希望するレベルに行われており秋にはアケビのプチ盆栽が30鉢程出来るはずである。
今年は、暖冬のためか既に芽の先端は緑になり始めている。
今日は2月5日であり昨年より15日早いが挿し木を開始することとした。

2、作業日程

(1)現状宇調査、挿し木構想案 2月5日
(2)挿し木作業実施      2月6日午前3時~10時
(3)管理作業         7月下旬まで継続(以後通常培養可)

3、挿し穂の現状

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いずれの枝も1~3cmの太さでありプチ盆栽としては、最適であり大小さまざまな樹形も期待出来る。
特に、蔓ものであるアケビは、発根が良く挿し木盆栽としては最適であり、直接化粧鉢へ挿しても充分活着する実績は多くある。

4、挿し穂つくり

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写真5、6の挿し穂つくりは不要枝を切除し、切り出しナイフで切り直した後トップジンを塗付、トップジンをティシュペパーで拭き取る。
一連のこの作業は、挿し穂つくりに限らず枝、幹の切除作業後の処置として欠くことの出来ない大事な作業です。
特にアケビは腐り込み易い樹種です。

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写真7~9はそれぞれ狙いに合わせて切り離しますが、この時少し長めに切り離すこと。
後で切り口を切り出しナイフ(兼進製接木ナイフ材質白紙1号)で切り直し作業要すため。
太い部分は、鋸を使用します。
可能な限りすばやく切り離すことが必要です。
その為には鋸が切れる様、鋸刃のヤスリ掛け作業も習得しておく必要があります。

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切り落とした刺し穂は写真10の様に、500ccの水に発根剤2,5cc+HB1012~3滴を入れた中に入れます。
 挿し穂は、全て切り出しナイフで切り直してトップジンを塗付。

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又、大きな切り口には、更にカットパスターで木質部のみ保護します。
これらの作業は、発根や活着に大きな影響を与えます。

5、挿し木床(鉢)つくり

挿し木をする場合、挿し床を使用するのが一般的ですが、私は直接鉢に挿します。
理由は、挿し木がやがて、発芽、発根をしていきますがこの時、樹勢が旺盛であれば押さえ針金を行う場合があります。
その為、鉢に小分けされていると作業が容易であり、又、各々の状態の観察が容易であり、鉢別管理が可能なためです。

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写真12は、通常用土(皆さんが使用している)にプラス1mm程度のミジンを挿し穂の接触する部分に加えます。
この時、ミジンを加える部分は少し用土を減少させると良い。
鉢は、挿し穂太さの1、6~2倍(ほぼ植え付けと同じ)を使用します

6、挿し木作業

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挿し穂を用土の上に載せ、軽く押し付け写真13の様に針金で固定し充分に灌水(発根剤+HB101入り)する。

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挿し穂固定後は同じく、発根剤+HB101入りの水苔を写真14の様に2箇所載せアルミ線で固定します。
水苔の載せ方は、発全体でも良いのですが私は通常は2箇所に対象で置きます。
場合によっては発根を浴したい部分のみに置くおこともあります。
確たる、データーは在りませんが全面に置く水苔の量を指定箇所に置き、1鉢の中に乾燥する部分と、乾燥しない

部分を作ることは、挿し穂に刺激を与える物理的条件が整ているものと自己判断しているためです。

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写真15は写真1の素材から出来た挿し木の全てです。
まだ水苔を置いてないものもありますが計19本の挿し木と写真16の台木が出来ましたので合計20本です。
素材を8千円で購入しましたので一鉢当たり400円となります。

7、挿し木後の管理

―実は挿し木で大切なのはここからです!―

①当初の置き場所は、朝日が2時間~3時間当たる場所(棚下等)で、保護キャッププラス寒冷斜45%で管理し、花は随時取り除く。
②本葉が出てきた状況に合わせて徐々に寒冷斜を除く
③本葉が固まって来たら棚上げする。(発芽状態によって各々の鉢に差があるので状態の整った鉢から順次行う)
④基本的には、一番芽が間延びしてもそのまま伸ばし続ける。
⑤遅くても7月上旬までには2番目が出る、この芽が将来を決するのである。枝に曲をつけたい時は針金掛けで、枝を伸ばしたくない時は芽が出始めるとき、その芽の部分のみに成長調整剤(スミゼブン300倍)を噴霧する。(根や他の芽にかからない様に)
⑥7月中旬以後徐々に一番枝(間延びした)切除し、2番目に力点を置く手入れを行う。

8、台木の処置対策

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写真16は、不要枝の切除及び、根の切り込みをした状態です。
根は鋏や又切りで概略切除し、その後切り出しナイフで綺麗に切り直し、(これは富士樹会YO氏が30年程前から実施する方法で、一気に根を切り詰める場合欠かせない作業です)トップジンを塗付し拭き取り、必要に応じてカットパスター保護をし、写真17の様に植え付ける。
上部を挿し木したので大きな傷がある。このため焼け込み防止策として考えられる神付けと樹皮の部分にはトップジンを塗付しが焼け込みが出来る危険性はある。
この時、焼け込むことを考慮(PPA=処置がNGだった場合はどうするか案を立てておくこと)した培養が必要である。
アケビは焼け込み易い樹種である。

9、切除した根を生かす

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写真18は、アケビの根である。自生しているアケビは何十メートルも細く長く伸びる。
富士川は急流であり、昔はこの急流と秋口から魚が海に下る習性を利用して「もじり」や「やな」と云う漁具で鮎等を捕獲していた(今は禁止されている)。
この時の漁具を作るのにアケビの根や蔓が使われた。
理由は、水の中でも腐りにくい性質からとのことである。

アケビの根は伸びていきながら1メートル間隔位に根や芽が出ていたのを記憶している。
アケビの根伏せの経験は無いものの、これらの記憶の検証は価値があると考え実施する事とした。

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写真19は、ズミやカイドウ等と同じ方法でビニール袋に保管し、発芽を待つこととした。

10、追記

発根や活着から展示までの追跡を順次行い情報提示することで、盆栽つくりの一助となれば長年小品盆栽を楽しませて頂いた山の神へのお礼になるものと考えております。
又、結果の出る前にこの様な記録を提示することは、的確な作業や管理をする様、自分にプレッシャーを掛けるためでもあります。
幸いこの記録を見た方が同様の作業に取り組み、経緯や結果の情報交換が出来れば培養知識・技能向上に繋がりこの上ない喜びであります。
(平成19年2月7日現在)

11、第1回経過報告

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写真20は、挿し木後40日経過した状態です。写真20の右を写真14と対比して下さい。
樹勢の良いものは、写真はダリの様に保護キャップに当たり曲がっていますがまだ鉢孔に根は確認されません。
このまま伸ばし続けますが強すぎる新芽は4月初旬に新芽の先端を1cm程切除する予定です。
いきなり短く切ると新芽が元から枯れることがありますので注意が必要です。

尚写真15に在ります挿し木19本で枯れたものはありません。


12、第2回経過報告


2007年9月17日
写真18、19の根伏せ用根からの発芽見られず、処分。
又、挿し木結果は発根17本、枯れ死2本であつた。
枯れた2本は室出し後

2月 唐楓 接木

盆栽つくりにか欠かせないのが接木である、特に呼び接ぎは、思うところに、思う様に幹の立替や枝の増加が可能である。
又、雑木類の呼び接ぎは、将来接いだ部分が判別出来ないのみか、むしろ味のある枝の喰いつきも期待できる。

何よりも素晴しいことは、雑木の場合、松等と異なり何十年経ても枝落ちしないことにある。
雑木つくりの条件に叶ったこの方法は、その樹の欠点を長所に替えることや長所を更に向上させる手段として、盆栽愛好家全てが実施すべき手法と考えます。

ここに紹介するのは、唐楓の寄せ植えを知人から頂戴したものですが、どの様に接木をすれば、樹が喜ぶのかを創造しながら紹介することにしました。

1、現状調査

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写真は、白色部分が寄せ植えで用土の中の部分であり、緑色に見える部分が寄せ植えの体をなしていた部分である。
さて、この素材をどの様に生かすかが盆栽つくりの妙で在ります。

現状
1、幹の太さ:写真上6㎜、写下5㎜。
2、幹部長さ:写真上60㎜写真下75㎜。
私は、楽天的ですので何処が悪いではなく、何処が良いかのみを探します。
考えて下さい。この子達には何の罪はありません。
ややもすると我々は、樹の欠点ばかりを叱責し、良さを探す努力をしなかったのではないでしょうか?
写真の唐楓が、そう訴えている様にも見えるから面白い。

2、構想案つくり

過去の経験や知識から(判断出来なければプロの盆栽園や先輩から聞く)「何処部分がどの様な樹形に最適であるのか」の視点で観察して、構想案をつくる。
この時、「樹木も自分も生長する」ものであることを念頭に置くことが必要です。

即ち、成長と共に樹は長所欠点が変化しますので柔軟に構える必要があります。

自己願望のみを樹に押し付けるのではなく、他と異なる部分や自分の意としない部分を「特長又は長所」と見る努力が愛好家の真骨頂である。
1、の写真の唐楓は、二本共、根元から幹の部分に前後左右に適度の曲がりがあるものの優れた素材とは言えませんが呼び接ぎにより株立ちの樹形を想定しました。

3、呼び接ぎと取り木を想定した根の植え付け

根の片方を切除し、鉢に挿入できる根は可能な限り残し、ほぼ下の写真の位置で植え付けることにし、根連なり又は株立ちの樹形を創造してみました。
根を綺麗に処置しない理由は、樹勢を落とさず目的達成の作業を優先したいためです。

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下の写真は、1,5号(径45mm)の鉢に入れた状態。
右側は、根が多くありませんが植え付けの時に位置を上げます。

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下の写真は、植えた状態です。
私の場合樹の作り始めは株状に作っています。
理由は、唐楓、モミジは根の生育が良く、3~5年経ますと根の部分が癒着して幹状になります。
深鉢つくりの場合株立ちのつもりが模様木になってしましますので常に株立ちつくりをしています。

尚、株立ちの樹形を維持する場合は、浅い鉢で持ち込みます。

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2月 金華山(ガマズミ) 挿し木

1. 挿し穂準備

金華山(ガマズミ) 挿し木1
金華山(ガマズミ) 挿し木2
昨年晩秋葉刈りをして挿し穂を整姿しておき発根すれば本鉢に植え展示できるレベルに小枝を作って置く。

2. 挿し穂

金華山(ガマズミ) 挿し木3

3. 挿し木の位置決め

金華山(ガマズミ) 挿し木4
挿し穂は、発根剤に漬け、トップジンMを薄く塗り、挿し木の位置仮決めする(植替えも同じ)。

4. 挿し木後

金華山(ガマズミ) 挿し木5
活着ポイントは、挿し木後刺し穂を持ち上げ挿し穂が動かないこと。
いずれの樹種の挿し木でも同じ。
荒風防止と午前中の日照で、ほぼ100%発根します。

春の挿し木は、芽数が多い程発根が良い様に思います。
それは、前年度から挿し穂つくりをして置くことに尽きます。
このレベルの芽数があれば、秋展示しても他と見劣りしません。

2月 富士の小リンゴ 切り離し、結束法取り木、根伏せ、挿し木

1. バラシ、切り離し

富士の小リンゴ 2月作業1
1の写真矢印部分に2ミリ程の根が一本在ったので切り離し植え付ける。

2. 結束法取り木

富士の小リンゴ 2月作業2
2の矢印は結束し、半分用土に埋め発根させる。

3. 細根の根伏せ

富士の小リンゴ 2月作業3
細根は、歯ブラシで毛根を除去し伏せる。
細根は小根が多過ぎると用土がすきこめないのか発芽率が悪い。
尚、一部の根には針金を掛けて

4. 挿し木

富士の小リンゴ 2月作業4
不要枝は、4の写真様に挿し木とした。

5. 追込み品の植替え

富士の小リンゴ 2月作業5
樹の裏側、矢印の部分に芽当りがあるので切除して本来ジンを付け焼けこみ帽子を図りたいものの、2の写真の切り離し位置関係があり短く切除した。
根元の傷と切除した部分は、15ミリほどであるため焼け込みがつながる恐れあるので、焼け込みすることを前提に樹形構想を立てておく必要がある。

※不活着(枯れる)

1. 現状と方向付け

ピラカンサス(黄実) 庭からの鉢上げ1
ピラカンサスの黄色の実です。
2007年友人に頂戴した一本を庭先に植えておきました。

2. 立ち上がりの動き創り

ピラカンサス(黄実) 庭からの鉢上げ2
片方の根を切り込み立ち上がりの動きをつくりました。

3. 植え付けの検討

ピラカンサス(黄実) 庭からの鉢上げ3
植え付け検討するときアルミ線を使い仮想位置決めすると便利です。


4. 植え付け

ピラカンサス(黄実) 庭からの鉢上げ4
植替え後は、アルミ線は外すことも出来ます。

5. 挿し木

力枝の部分は挿し木にして次年度以後に繋げます。
但し、力枝は樹勢が良いのですが挿し穂が腐り込み易いのでトップジンMを厚め煮塗付します。
古枝は薄め塗付でOKです。

6. 結果は、枯れてしまいました

庭で2年培養し、70cm程に伸びた枝を切り込み植え付けしました。
同時に枝は挿し木をしましたが活着率は30%程度でした。
管理方法等容易な樹種あるため観察が不十分であり、気付いた時は、蘇生不能状態でした。

2月 唐楓 挿し木 中間報告

1. 現状

唐楓 挿し木 中間報告1
前年から、庭に植えた唐楓の一部を取り木又は挿し木する計画をたて、その部位を結束して、木つくりをして置きました。
取り木でも良いのですが、来年の部位つくりの関係がありますので切除し、挿し木をすることにしました。
矢印部の切り離し部はトップジンMで保護します。

2. 挿し木の位置

唐楓 挿し木 中間報告2
作業台に1センチピッチのセンを引いてありますので、太さが想定出来ます。
太いところは、4センチ位あると思います。
これ位の太さを挿し木する場合は、前年に結束しておくと発根率が上ります。

この時期切除して挿し木する場合、木異質部への腐り込み防止策(トップジン、カットパスター等で)が必要です。

3. 挿し木の位置

唐楓 挿し木 中間報告3
用土は、各々が使用しているものに、1〜1,5ミリの細かい土を切り口部に置き密着性向上を図ります。
当てゴムを付け針金で鉢と挿し穂を固定し、親指大の水苔を2〜3箇所置き乾燥防止し、保護室で管理します。
又、写真では、判り難いのですが枝先は、ピンク色に変化しつつありますが春の挿し木の適時と思います。

2月 一才ズミ 植替え、根伏せ、挿し木作業

1. 現状

一才ズミ 植替え、根伏せ、挿し木作業1
友人に頂戴した一才ズミ。
根伏せの根つくりを考慮し鉢底に矢作砂等を置き変形した根つくりをしてあります。

一才ズミ 植替え、根伏せ、挿し木作業2
鉢を割り、根を傷つけない様ほぐします。

2. 良いとこ探し

一才ズミ 植替え、根伏せ、挿し木作業3
根を観察し、特長を活かす根伏せ材料確保と、植え付け位置を検討します。

一才ズミ 植替え、根伏せ、挿し木作業4
この段階で切り口には、保護剤を塗付しておきます。

3. 植え付けと根伏せ

一才ズミ 植替え、根伏せ、挿し木作業5
写真右の矢印は、上の写真と同一品ですがアルミ線を巻き仮植え付けしますと細物を植えつける場合も便利です。

一才ズミ 植替え、根伏せ、挿し木作業6

4. 保護

一才ズミ 植替え、根伏せ、挿し木作業7
根伏せ品は、水苔又は多く露出するものは、矢印の様に筒を作り用土で保護します。

5. 挿し木

一才ズミ 植替え、根伏せ、挿し木作業8
枝の部分は、一芽毎挿し木をしました。
切り口には保護剤が必須です。

2月 荒皮マユミ 植替え及び根伏せ

1. 現状(左右二本)

荒皮マユミ 植替え及び根伏せ1
荒皮マユミは、幹の部分も錦木の様になりますが年数を経ますとこれも又錦木同様脱落します。
然し、根の部分は、年数を経る毎肌荒れし、見ごたえのある盆裁が楽しめます。
特に11年以上経ますと大幅に荒れが拡大しますので根伏せで作るのが「荒皮マユミ」つくりのポイントです。

2.根の観察とバラシ

荒皮マユミ 植替え及び根伏せ2

2〜3ミリの根からも発芽が得られます。

荒皮マユミ 植替え及び根伏せ3

矢印の様に片方の根を切除すると立ち上がりに曲が出来ます。

3. 作業終了の様子

荒皮マユミ 植替え及び根伏せ4
荒皮マユミ 植替え及び根伏せ5
それぞれ、根伏せ、植替え保護した状態です。
頂戴した2本が12本に増加しました。

2月 富士ズミに後平ズミ 接伏せ

※接伏せ(根に接木して植える作業の造語)

1. 接木前のズミの根と富士小リンゴの接ぎ穂

富士ズミに後平ズミ 接伏せ1
台木となるズミの根Aは、毛根や不要根を整理し、綺麗にカットした切り口Cには、トップジンを塗付し拭き取っておく、挿し穂Bは、台木の太さより細いものを使用。
ポイントは、双方の形成層を合わせること、挿した穂が動かないこと、台木の切り口は、全閉にすること、手早く作業のこと。

2. 接木手順

※この作業は本来写真等取らず素早く終了させること
富士ズミに後平ズミ 接伏せ2
接穂を鋭利な小刀で、台木にあわせクサビ状にし、即、唇でくわえ乾燥防止

富士ズミに後平ズミ 接伏せ3
穂木に合わせ、台木に切れ込みを入れます。

富士ズミに後平ズミ 接伏せ4
形成層を合わせ、台木の切れ込みに接穂を差込む。

3. 接木

富士ズミに後平ズミ 接伏せ5
接合部は、接ぎテープで台木が挿し穂を咥える様に縛り、挿し穂もテープで密閉。

富士ズミに後平ズミ 接伏せ6
植え付け後露出している根の部分は、写真右の様に、ポットを改良し用土を入れる。

4. 5月上旬の発芽状態

富士ズミに後平ズミ 接伏せ7
5月連休には、接ぎ穂がテープを突き破り出て来た様子です。

2月 ツタウルシ 植替え及び挿し木

1. 現状

ツタウルシ植替え及び挿し木1
ツタウルシは、小枝も小枝ものり易くプチ盆裁に適しています。
又、どの地域でも紅葉が綺麗で楽しいものです。
マトメ植えしたものですが見ると、癒着しています。
私にとって新しい発見でしたが分けてくれた方は随分前から解っていた様子でありマトメ植えをしてありました。

2. 癒着部分及び用土解し後

ツタウルシ植替え及び挿し木2
ツタウルシ植替え及び挿し木3
用土を解し間延び部分は、切除し挿し木にします。
根伏せの経験がありませんので実施します。

3. 挿し木

ツタウルシ植替え及び挿し木4
1. の写真の矢印部分ですがツルものですので長めの挿し木トライ

4. 植え付け

ツタウルシ植替え及び挿し木5
癒着した部分は間延び枝を切除て、植え付けました。
現実的には、新たに発芽する芽を活用することになると思います。
ツタウルシは、紅葉がきれいですので楽しい樹種です。
持ち込みますと葉も少し小さくなります。

2月 ピラカンサス(橘もどき) 挿し木作業

1. 現状

ピラカンサス挿し木作業1
大きな盆裁の枝先でプチ盆裁に適した部分を選択し、挿し穂を作ります。

2. 挿し穂(本来前年11月位に葉刈り要)

ピラカンサス挿し木作業2
挿し穂の切り口には、トップジンMを塗付し、更にティシュで拭き取り塗膜を薄くします。

3. 作業手順

ピラカンサス挿し木作業3

  1. 鉢底から針金を通し、挿穂に巻き付けます。
  2. 用土をゴロ土、植え土の順で入れ、真中を凹部にします。
  3. 凹部に1ミリの土を入れ切口の隙間を減らします。
  4. 鉢底からの針金を引き下げ鉢に固定します。鉢に針金を押え付けて。

4. 挿し木後

ピラカンサス挿し木作業4
発根剤及び活性剤を適量入れた水に沈め充分な灌水をします。

5. 保水保護

ピラカンサス挿し木作業5
更に、発根剤及び活性剤を適量入れた水に浸した水苔を挿し穂の近くに置き保水します。

6. 管理場所

棚下の午前中日照する場所、必要に応じて風除け保護要す。
水苔は発芽箇所に近すぎると新芽が腐るので、芽当たり部に接触不可。
保護キャップ等あれば、水苔はなくても可。

1. 現状

五葉松間延び枝と根上り樹形の針金かけ1
現状の位置は、大柄樹形となっています。
枝は、間延びしており針金かけもたたみ込んだ大味な木です。
然し、多少の古さがあるのと価格が安いので入手しました。
つくり方も現状と同様、たたみ込み作りしか方法がありません。
樹高も12センチ程であり締りがありません。

2. 位置の選定

五葉松間延び枝と根上り樹形の針金かけ2
右側から見た根配りの様子です。
所詮たたみ込みつくりを実施するのであれば、根上りにつくり、間延び枝をたたみ込んだ姿と根の動きを同調させることにより、間延び枝の目線を根に移動させることとしました。
矢印部の様に針金傷も大きく、切除せざるを得ないものですが、樹高7センチを目指し鉢と幹を締め込みました。

3. 針金かけ後

五葉松間延び枝と根上り樹形の針金かけ3
目に余る大きな傷の枝は切除し、全体の枝に少し細めの銅線をかけた後、針金で締め込み枝位置を決めました。
ポイントは、枝を根の下を通過させ間延び枝と根を一体化させたところです。
枝数が少なくなったため、後ろ枝を前に移動させましたので後ろには、接木をします。
現状の樹高は8センチを想定。

2月 五葉松 針金かけと接木

1. 現状

五葉松針金かけと接木1立ち上がりは、良い構えであり古さも10年以上は経過しているであろう。
Aの方向に強く引き下げてあったため、Bの部分に大きな割れがあるため、更に引き下げることは不可能と判断し、一の枝活用と接木によるプチサイズに挑戦した。

2. 針金後とB部接木

五葉松針金かけと接木2
Aの部分の接ぎテープを巻き割れが発生した時の保護(ラフィヤでも良いのですが接ぎテープでも同様以上の保護になります)
曲げ下げた頂点を7センチとしたので、緑がこの位置を上回らなければ、常にプチサイズが確保されることになります。
Bの部分は、根に接木をしました。

上部の切除は、秋以後を予定しています。

2月 長寿梅 挿し木に近い植替え

1. 現状

長寿梅挿し木に近い植替え1
根上りの長寿梅ですが、サイズ及び枝の強さが拮抗しているところ目に付きます。
矢印部分で切除するのも方法ですが、それは、次のステップとして拮抗した太さの枝では、何処がいけないのか検証します。
尚、カットパスターペーストを塗付した枝は、既に切除されていましたので切り返して保護剤と塗付しました。

2. 切除と保護剤塗付

長寿梅挿し木に近い植替え2
矢印の部分は根ですので植替えと言えば植替え、挿し木と言えば挿し木ですね!
カットした幹の木質部には、カットパスターペーストを塗付。
矢印の根のカット部はトップジンMを塗付し挿し木します。
注:2月下旬以後この作業をする場合ベンレート等マイシン系で殺菌すると病気対策になります。

3. 挿し穂の固定

長寿梅挿し木に近い植替え3
挿し木は、挿し穂の固定がポイントです。
挿し穂の何処を掴んで持ち上げても挿し穂が動かないことが発根の前提です。
矢印の部分にゴムをあて1,2ミリのアルミ線で鉢と固定しました。
メネデールとHB101を添加した水に浸けた水苔を2箇所置き保水しました。

2月 マユミ 植替えと挿し木

1. 現状

マユミ植替えと挿し木1
幹の太さは、4センチ程であり予定太さに達しているが枝枯れ、交差根があり、又、幹がまん丸で味わいに欠ける。
よって、矢印の不要枝は、挿し木にすることとした。
又、枝枯れは根の損傷が想定され、用土も不適合なものがしようされている。

2. 不要枝切除後

マユミ植替えと挿し木2
矢印部の根を切除幹に動きを付ける。

3. 底根の切除状態

マユミ植替えと挿し木3
底根を切れる小刀でカットし、トップジン塗付。

4. 切除した枝の挿し木

マユミ植替えと挿し木4
挿し木と水苔で保護。HB101+メネデール浸ける。

5. 植替え後

マユミ植替えと挿し木5
現状の樹高3センチ、根まわり4センチであり、想定樹高7センチとして、内径6センチ、外径7センチの鉢を選定。
花は、赤とのことでしたのでもう少し緑に近いものが反対色ですので良いですね!
植え位置は右=1、左=1.6の黄金比です。
用土飛散防止のネットは、用土が団粒構造になったら取り除きます。

2月 長寿梅 植替えと株分け(同時に根伏せ、挿し木)

1. 現状

長寿梅植替えと株分け1

2. 根洗い後

長寿梅植替えと株分け2
長寿梅は、ズミと同様2の写真の様に成り易い樹種。
根が自然の流れであればよいが、このままにしておくと一見太さはあるものの、不自然な樹形の原因となる。

3. バラシ後

長寿梅植替えと株分け3
3の写真の様にバラシ、それぞれの良い部分を活かした木創りが好ましい。
尚、枝は1センチ以内の芽当たり部を残し切除し、プチサイズ盆裁に適合させる。

4. 植え付け後

長寿梅植替えと株分け4
交差した根、不要枝の切除と枝は、切除し植付け。

5. 根伏せ

長寿梅植替えと株分け5
切除した不要根は、根上り、文人木を想定した根伏。

6. 挿し木

長寿梅植替えと株分け6
切除した枝は、挿し木をそれぞれ実施した。

2月 五葉松 株立ちつくりと針金かけ・植替え

1. 現状(正面案)

五葉松株立ちつくり1
枝数が多い木ですので、写真左を正面に株立ち作りも面白いと考えました。
矢印しの部分に針金を入れ鉢と幹を締め付け、木を倒します。
那須五葉松とのことですが葉性は、いまひとつと云うところですね!
私は、四国五葉の葉性が平均的に良いのではないかと思います。

2. 現状(裏面)

五葉松株立ちつくり2
写真右の矢印部が4本の車枝であり太さも太いため真半分に割り、車枝と太さ対策とします。
立割した部分は開口せずトップジン塗付後元の位置にして秋まで行くと枯れる率が下がります。
注:針金を掛けたものを植え替えると枯れるリスクが増大します。

3. 針金かけ後

五葉松株立ちつくり3
木を倒し、枝がより地表近くから出ている雰囲気を表現し、樹高6,5センチを確保。
針金かけと葉透かし及び引き針金を実施。(本来葉透かしは、9月ごろが良いです)
針金かけをした五葉松は春植え替えをせず、8月中旬?9月上旬に本鉢に植え替えることとします。

4. 本鉢上げ(実施09年3月24日)

五葉松株立ちつくり4
2月2日針金かけを行い、1.5ヶ月程経ましたので、植替えをしました。
4月中旬又は、8月を考えていましたが盆裁の数が多くありませんので、つい手が動いてしまいました。
鉢が少し大きめですが、株立ちであり飾りは受けに使用したく、樹高9センチを狙い、鉢サイズは、狙いの樹高に合わせ8.5センチです。左右の葉張りは14センチ予定です。

2月 五葉松 模様木検討と針金かけ

1. 現状

2月五葉松模様木検討1
2月五葉松模様木検討2
側面が一番好みにあった位置であり、この位置を正面とした。

2. 針金かけ後

2月五葉松模様木検討3
針金かけの実施中と実施後葉抜きし、矢印部の様に引き針金により、木に負担をかけず又、枝の太さに不適合な太い線を使用せず狙いの位置に枝を移動出来ます。
尚、葉透かし(葉抜き)は9月に実施する方が必要な芽の要不要がわかり、且つ胴吹きの可能性も高いと思います。

3. 針金かけ修正と位置改善

2月五葉松模様木検討4
更に矢印は、鉢底から銅線を通し、当てゴムをして引き下げ、樹高7センチを確保した。
今後は、線で示す様に左枝を伸ばしバランスをとりながら作りこんで行くこととします。
2月初旬の針金かけですので室の中で4月まで管理し、植替えも春植えではなく8月中旬?9月上旬に本鉢上げ予定。

4. 植替え(3月24日植替え)

2月五葉松模様木検討5
鉢サイズが大き過ぎの理由は、矢印部分の根と後ろ根が張っており、奥行きのある鉢を使用したためです。
矢印の根が将来この樹全体を支配する根になると考えたため、強い切り込みは避けました。
次回の植替えは、8月に行い根を切り込み鉢との整合性を図る必要があります。

5. 人の見る角度

2月五葉松模様木検討6
根幅は5センチですので、枝が出来てくれば小根も比例して出ますのでバランス的には整うと考えます。
この写真は、少し角度を変えて取りました。樹高7センチのプチサイズですので飾り棚の最上段に置いても目線はこの角度になると思います。

2月 アケビ 挿し木

1. 挿し穂を親木(元木)から切り離すところ

2月アケビの挿し木1
発根率が良い樹種ですので、可能な限り古い枝を挿します。
100本挿せば100本共発根します。
発根しないものは、作業や管理に手落ちがあったということです。
コブと言うコブ全てを挿して下さい。全て発根します。
鋸は回し鋸が便利です。

2. 挿し木したところ

2月アケビの挿し木2
2月上旬の挿し木ですので今後、霜などが予想されますので表面に矢作砂を載せ、霜柱対策をしました。
置き場は、朝日が2〜3時間当たる室内が良いです。
当然アルミ線で挿し穂と鉢を固定します。

3. 挿し木1ヶ月後の状態

2月アケビの挿し木3
挿し木1ヶ月後に状態です。
このまま一年伸ばし続け、鉢が割れる位根も伸ばしますと花芽が速く来ますが、実付きの良し悪しが在りますので考慮下さい。
ちなみのこのアケビは、五葉アケビ(葉が5枚あるアケビ)ですが他に三つ葉アケビがあります。

2月 モミジ 分割つくり

1. 分割前の状態

モミジ分割つくり 分割前の状態
2007年の挿し木したものですが発根(挿し木や取り木で根が出ること)状態等もイマイチ!いろいろ考えた末の答えは、A?Aで分割して優しさのある株立ち(根元から何本かが幹の様をしている樹姿)のすることにしました。

2. モミジ分割つくり 分割後の状態

モミジ分割つくり 分割後の状態
根の状態も充分ではない上に分割された部分に根は、ありませんがきれいにカットし直し、トップジン塗付後カットパスター貼り付けをし、腐り込み防止をしておくと後年発根します。

3. モミジ分割つくり 植え付け状態

モミジ分割つくり 植え付け状態1
モミジ分割つくり 植え付け状態2

通常に植え付けて問題ありません。但し、分割した片方には、全く根が無いわけですから、その部分には、水苔(入梅過ぎ迄)を置き保護します。
鉢サイズは、左が6.5センチ、右は6センチです。

4. 2008年9月10日現在

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