2月 唐楓 接木

盆栽つくりにか欠かせないのが接木である、特に呼び接ぎは、思うところに、思う様に幹の立替や枝の増加が可能である。
又、雑木類の呼び接ぎは、将来接いだ部分が判別出来ないのみか、むしろ味のある枝の喰いつきも期待できる。

何よりも素晴しいことは、雑木の場合、松等と異なり何十年経ても枝落ちしないことにある。
雑木つくりの条件に叶ったこの方法は、その樹の欠点を長所に替えることや長所を更に向上させる手段として、盆栽愛好家全てが実施すべき手法と考えます。

ここに紹介するのは、唐楓の寄せ植えを知人から頂戴したものですが、どの様に接木をすれば、樹が喜ぶのかを創造しながら紹介することにしました。

1、現状調査

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写真は、白色部分が寄せ植えで用土の中の部分であり、緑色に見える部分が寄せ植えの体をなしていた部分である。
さて、この素材をどの様に生かすかが盆栽つくりの妙で在ります。

現状
1、幹の太さ:写真上6㎜、写下5㎜。
2、幹部長さ:写真上60㎜写真下75㎜。
私は、楽天的ですので何処が悪いではなく、何処が良いかのみを探します。
考えて下さい。この子達には何の罪はありません。
ややもすると我々は、樹の欠点ばかりを叱責し、良さを探す努力をしなかったのではないでしょうか?
写真の唐楓が、そう訴えている様にも見えるから面白い。

2、構想案つくり

過去の経験や知識から(判断出来なければプロの盆栽園や先輩から聞く)「何処部分がどの様な樹形に最適であるのか」の視点で観察して、構想案をつくる。
この時、「樹木も自分も生長する」ものであることを念頭に置くことが必要です。

即ち、成長と共に樹は長所欠点が変化しますので柔軟に構える必要があります。

自己願望のみを樹に押し付けるのではなく、他と異なる部分や自分の意としない部分を「特長又は長所」と見る努力が愛好家の真骨頂である。
1、の写真の唐楓は、二本共、根元から幹の部分に前後左右に適度の曲がりがあるものの優れた素材とは言えませんが呼び接ぎにより株立ちの樹形を想定しました。

3、呼び接ぎと取り木を想定した根の植え付け

根の片方を切除し、鉢に挿入できる根は可能な限り残し、ほぼ下の写真の位置で植え付けることにし、根連なり又は株立ちの樹形を創造してみました。
根を綺麗に処置しない理由は、樹勢を落とさず目的達成の作業を優先したいためです。

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下の写真は、1,5号(径45mm)の鉢に入れた状態。
右側は、根が多くありませんが植え付けの時に位置を上げます。

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下の写真は、植えた状態です。
私の場合樹の作り始めは株状に作っています。
理由は、唐楓、モミジは根の生育が良く、3~5年経ますと根の部分が癒着して幹状になります。
深鉢つくりの場合株立ちのつもりが模様木になってしましますので常に株立ちつくりをしています。

尚、株立ちの樹形を維持する場合は、浅い鉢で持ち込みます。

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