接木に付いて
接木は1ランク下に見られますが120万円のキンズも大半が接ぎ枝でした。
様は接木で在っても見る人に納得してもらえる接ぎ位置が要求されます。
癒着する性質がある雑木に在っては、接いだ部分が将来枯れ落ちる事はありませんので雑木盆栽つくりイコール接木作業です。
又松柏でも元接ぎしたものは何百年も盆栽として生息することを三代将軍の五葉松が証明しています。
特に促成栽培を思考したときや安価でプチ盆栽を楽しむ場合等接木は各ことの出来ない作業(盆栽つくり)であります。
尚、芽接ぎ、枝接ぎに際しては、
①構想案つくりとこれに基づく接ぎ位置の選定(マーキング)
②刃物が切れる
③接穂の選定
⑤接穂の切り口を乾燥させない
⑥接穂の切り口長さと整合させた接ぎ部の切り込む
⑦片方の形成層をピッタリ合わせ、軽く引いても接穂が抜けない様に差し込む
⑧接ぎテープの一周目をキッチリ巻く。
⑨濡らした水苔を付け保水する(接ぎ部に水分が浸入する様では活着せず)
⑩保護ビニールで保護(個別に)
⑪日に当てる
平成19年の失敗事例
2月26~28日に於いて富士ズミに一才ズミ及びカイドウを97本接ぎ、成功36本実施したが活着率なんと37%であつた。
毎年ほぼ100%であるのになぜか?
⑩の保護ビニールの代わりにスイカキャップを使い15本を同時に保護しようと考え実施した。
当然充分日が当たる場所に置いていたところ、新葉が出てきた4月4日30度近い気温のため台木を葉焼けさせた。
急ぎ⑩の様に個々の保護をするも手遅れでした。
各種接木事例(現物)
右は、平成18年2月赤ズミの根にカイドウを芽接ぎしたもので接ぎ部を目立たなくさせるため走り枝を付けたため、接ぎ部は目立たなくなったが異常太りあり。紅葉中にサバ状に削ります。左は、平成19年2月、富士ズミに一才ズミを枝接ぎしました。
平成19年6月同じ樹の枝を接木中です。
保護ビニール袋もせず1週間棚下で保護、その後は通常の棚上管理でこの通りです。
平成18年3月赤松へ赤松接木同じ赤松ですのでなじんできます。
平成19年7月2日芽摘み済み。
平成19年3月真柏に八房杜松(大野杜松)接木。
真柏部は神にする予定ですので必要なだけ太らせます。
平成19年3月八房に大野杜松を接木。
大野杜松(仮称)とは、盆栽世界6月号でも紹介されました大野まり子さんが育てている八房杜松です。
他と分別するため私が大野杜松と呼んでいる仮称です。
鈴鹿山脈系の八房ではないかと思いますが大変芽吹きの良い杜松であり、最近はこれに衣替えしております。
皆さんも増殖させて下さい。
平成18年6月根元部に呼び接ぎ。
昨年結束しておいた部に水苔を付け取り木中です。この唐楓もそこそこの葉性であり楽しめると思います。
唐楓等は樹勢が良いので接ぎ溝の幅を広く取りイン、アウトから二本同時に接ぐことも出来ます。必要な数を一挙に接木して下さい。
平成19年7月4日
藪ツバキの台木に露開(椿とお茶の交配種)を接木しました。
プチ盆栽には、露開と胡蝶は花が小さく最適です。
繁殖させ楽しんで下さい。露開の葉も持ち込むと小さくなります。
写真5~8は、春植えつけたものが芽吹き呼び枝も接ぎ 位置に届く状態になり葉性もそこそこですので自己の枝で呼び接ぎを実施しました。
今年根元へ呼び接ぎをして、来年アルミの針金で結束した部分から取り木をします。
作業解説と作業ポイント
実施時期は、樹木の成長時期で接ぎ枝が接ぎ部に届けば何時でもOKです。
呼び接ぎにふさわしい葉性であるか見極め、接ぎ位置を決定します。
底面が平坦になる様、あせりの少ない鋸でスリットを入れます。
接ぎ枝の太さに合わせ深さ、幅を決めます。
(接ぎ枝の太さとスリット深さが同じぐらいになる様に又幅は固定釘の太さも考慮し、スリット部の仕上げ面粗さは呼び接ぎ枝の成長との関係が在ります。
呼び枝の新枝で皮を削らず実施する場合は、鋸でスリットしたままでOK)
呼び接ぎ完了状態です。
接ぎ枝インの部分は葉を切除、アウト部はそのままにします。新芽の比較的柔らかい間に接ぐと活着が速い様です。
注意点
・接ぎ部にはトップジン等ペースト及びクリーム状の処置剤を使用すると被服され活着を阻害しますので厳禁。どうしても処置したい場合は、カットパスター又は水苔を枝イン側のみ行います。
本体側の巻きが早すぎると活着前にスリットが肉巻きし活着遅れし、活着してもドリル孔式呼び接ぎ同様になります。
盆栽つくりにか欠かせないのが接木である、特に呼び接ぎは、思うところに、思う様に幹の立替や枝の増加が可能である。
又、雑木類の呼び接ぎは、将来接いだ部分が判別出来ないのみか、むしろ味のある枝の喰いつきも期待できる。
何よりも素晴しいことは、雑木の場合、松等と異なり何十年経ても枝落ちしないことにある。
雑木つくりの条件に叶ったこの方法は、その樹の欠点を長所に替えることや長所を更に向上させる手段として、盆栽愛好家全てが実施すべき手法と考えます。
ここに紹介するのは、唐楓の寄せ植えを知人から頂戴したものですが、どの様に接木をすれば、樹が喜ぶのかを創造しながら紹介することにしました。
1、現状調査
写真は、白色部分が寄せ植えで用土の中の部分であり、緑色に見える部分が寄せ植えの体をなしていた部分である。
さて、この素材をどの様に生かすかが盆栽つくりの妙で在ります。
現状
1、幹の太さ:写真上6㎜、写下5㎜。
2、幹部長さ:写真上60㎜写真下75㎜。
私は、楽天的ですので何処が悪いではなく、何処が良いかのみを探します。
考えて下さい。この子達には何の罪はありません。
ややもすると我々は、樹の欠点ばかりを叱責し、良さを探す努力をしなかったのではないでしょうか?
写真の唐楓が、そう訴えている様にも見えるから面白い。
2、構想案つくり
過去の経験や知識から(判断出来なければプロの盆栽園や先輩から聞く)「何処部分がどの様な樹形に最適であるのか」の視点で観察して、構想案をつくる。
この時、「樹木も自分も生長する」ものであることを念頭に置くことが必要です。
即ち、成長と共に樹は長所欠点が変化しますので柔軟に構える必要があります。
自己願望のみを樹に押し付けるのではなく、他と異なる部分や自分の意としない部分を「特長又は長所」と見る努力が愛好家の真骨頂である。
1、の写真の唐楓は、二本共、根元から幹の部分に前後左右に適度の曲がりがあるものの優れた素材とは言えませんが呼び接ぎにより株立ちの樹形を想定しました。
3、呼び接ぎと取り木を想定した根の植え付け
根の片方を切除し、鉢に挿入できる根は可能な限り残し、ほぼ下の写真の位置で植え付けることにし、根連なり又は株立ちの樹形を創造してみました。
根を綺麗に処置しない理由は、樹勢を落とさず目的達成の作業を優先したいためです。
下の写真は、1,5号(径45mm)の鉢に入れた状態。
右側は、根が多くありませんが植え付けの時に位置を上げます。
下の写真は、植えた状態です。
私の場合樹の作り始めは株状に作っています。
理由は、唐楓、モミジは根の生育が良く、3~5年経ますと根の部分が癒着して幹状になります。
深鉢つくりの場合株立ちのつもりが模様木になってしましますので常に株立ちつくりをしています。
尚、株立ちの樹形を維持する場合は、浅い鉢で持ち込みます。
1、富士小リンゴの根元部分
07年11月木を倒し、構えの良い部分を出して植え付けしたもの。
AとBに枝接ぎし、Aを芯にした右流れの樹形とし、E寸法は6cmであるため、D側に大きく曲がった樹高7cm、左右10cmの構想案とする。
CとDは、根伏せ箇所。
2、間延び枝の取り木準備と
A、Bの間延び部分は取り木をしてから切除し、両矢印部分で取り木をする構想案。
3の写真で説明するが、結束法で少しの水苔でも発根し易い樹種であるため、種々の樹形が可能である。
よって、樹形を決め付けずに創るのも良いと考えます。
3、用土に接触している部分から発根している様子。
幹Aの部分は、3cm位あり古さがあるのでそのまま切除しBを芯にした宿里で様のですが、1の呼び接ぎ・2の取り木を優先させ、切除分割は次年度作業にし、C枝の切除と処置をも終わらせておき、AとD部も幹の半分は切り込みと処置をしておきます。
呼び接ぎは、雑木の盆裁つくりに欠ことの出来ない作業です。
好むと好まざるとに関わらず必ず実行下さい。
たった一本の枝が来年には数本、必要に応じては数十本の枝を作ることが出来ます。
1. 06~07年に呼び接ぎしたもの
A点は、05年取り木した場所です。
取り木と同じく05年には、Bの部分に呼び接ぎをしておきました。
この部分から06~07年に賭けて、呼び接ぎしました。
撮影08年2月
2. 07~08年に呼び接ぎしたもの
C点は07年に呼び接ぎした部分で、これを元に2箇所に呼び接ぎを増加させたものです。
呼び接ぎ箇所の選定及び樹形を考慮しながら実施する事を進めます。
皆さんの感性と洞察力が試されますね。
撮影08年07月
3月 モミジ(嵐山) 挿し木
1. 6月4日現在
3月24日に挿し木した嵐山モミジですが、鉢底に根が確認出来ましたので、挿し木表土(ネットナシ)を植替え表土(ネットアリ)に変更しました。
2. 表土の修正
不足用土を足し、矢印の挿し穂固定針金の上からネットを被せ、内円周を建材用ホッチキスで押さえ、更に樹の再固定をしてから、矢印の針金を切ります。
通常の植替えと同様にネットを被せた後、根の生育が不十分なものは、挿し木と同じ様に針金で挿し穂を固定しますが、それはネットの上から固定し、根の充実後に外します。
3. 呼び接ぎによるレベルアップ
矢印上の嵐山モミジも悪い葉性では在りませんが、最近矢印下の様に更に良い葉性の小葉性モミジが多く出回っていますのでこれを呼び接ぎしました。
元木の枝が4本ありましたので4箇所に接ぎ、来年春は8箇所の枝が期待できます。
鉢同士をマスキングテープで固定後、作業をしますと活着までの管理が容易です。
1. 現状
矢印部に接ぎ太さのある6cm樹高をめざし、○で囲んだ中は枝接ぎをして細枝の株立ちをイメージして作業します。
但し、接木の時期は檜類の場合4月上旬位が良いと思いますが、時期外れに行い実施可否の判断材料にします。
その理由、盆裁作業のシーズンオフを無くして年間通じて実施出来る作業条件の探索。
2.
ラインの部分で取り木をすることにして、不足の部分に枝を接ぎました。
取り木後も根元からのプチ盆裁つくりが楽しみです。
1. 現状
A
浜松の盆裁仲間に頂戴した富士ブナ。
富士の私が富士ブナを浜松から頂戴するのは申し訳ない様な気がします。
更に樹は古く葉性の良いブナです。
B 根位置高さ検討
写真Bで根の高さを決める
C イメージ図
写真Cは樹形イメージをしました。
2. 枝の取り木案
A
B
写真Bの部分は、枝数が多く株立ちが可能。
C
写真Cで90度角度を振ると楽しいですね! 写真Cの芽当り部が生きてきます。
3. 施肥と、呼び接ぎ実施
別のブナの枝で呼び接ぎをしました。
現状は構想案より枝数が少ないものの7月下旬頃、追加の呼び接ぎをします。
現状は親木を肥培し、呼び接ぎの促進を図ります。
尚、施肥は用土の上に水苔を置き、その上に1,5号を固定し、鉢底に水苔を入れ(用土上の水苔と接触する様に)その上に肥料を置く、最即効性仕様にしました。
「2月 富士の小リンゴ 切り離し、結束法取り木、根伏せ、挿し木」の継続
1. 2月24日現在
2月の作業は写真Aが取り木狙い。
写真Bが追込み後の深しつくり狙い。
2. 5月24現在
写真Aの矢印部は、トップジン&カットパスター再処置
写真B部も、カットパスターペースト再処理後呼び接ぎ。
3. 今年度の呼び接ぎ
呼び接ぎは、切り込みの入り口側、出口側のそれぞれに芽が当る位置を接木した。
短期間つくりには、一箇所の呼び接ぎで2箇所以上の枝作り要。
呼び接ぎ箇所3箇所で枝数6箇所、発芽部枝3箇所があり、予定の枝数確保作業は終了。
以後は、矢印部の芯つくりと枝作りのみです。
写真2のBの呼び接ぎは、一箇所の呼び接ぎで3箇所の枝を作るための作業であると共に、幹の大傷を早く癒す手段です。
通常大傷を癒すには大傷の中心より少し下に接ぎ均一に癒し、呼び接ぎ部への保護剤浸透不可です。
1. 現状
浜松の盆裁仲間に頂戴した杜松に、八房杜松を接ぎプチ盆裁つくりを計画しました。
2. 現状調査
腐りのあるジンの部分は完全に除去し、 それぞれ立て矢印が根、横矢印が枝接ぎの構想案です。
1.素材
先ず、この素材を将来どの様に育てるのかを検討した結果。
1)根の部分は、呼び接ぎにより右流れの模様樹にする。
2)矢印の部分で取り木をして札リ流れの株立ちにする。
この2点を考慮した針金かけを行う。
2.針金かけ及び呼び接ぎ状態
針金かけは、取り木の部分が左流れになる様意識して行う。
但し、樹は生長の過程で変化する場合が多くあるので弾力性を持ったつくりが求められる。
取り木は、結束法で行い根元に呼び接ぎをし、呼び接ぎは癒着状況と取り木部の発根状態を勘案しながら水苔で発根補助をする予定。
3.拡大
1.素材
盆裁仲間から頂戴したカイドウ素材。
08年の挿し木とのことでした。
矢印は、挿し木した挿し穂の長さを示しているが1.5cmと長く、プチサイズの盆裁には不向きであるため秋までには、取り木をすべく針金かけを行い、更に呼び接ぎによる次年度の素材つくりをすることとした。
2.針金かけ、呼び接ぎ、取り木準備
矢印Aには呼び接ぎをして将来に備え、矢印Bには細針金を巻き付け取り木準備、発根の確認後水苔を付け、秋には鉢上げ予定。
矢印Cは、呼び接ぎ部の活着状態を見ながら取り木準備し、生育状態がよければは今年度中に、通常であれば来春取り木外しを実施。
その後は、生育状況に合わせ取り木、挿し木、根伏せ等を繰り返します。
3.拡大写真
この欄は、取り木外し状態等報告
真柏へ八房杜松(通称:大野杜松)
1. 挿し穂
それぞれ、立ち上がりは4cm程の真柏です。
植替えと接ぎ木を同時に行いました、イメージする接木位置を選定するための植替えです。
私は春の植替えの場合、根元の土をあまり除去せず根の周囲を切り込み植え付けます。
理由は:春植えで根を多く切り込むと杉葉が多くなる様な気がするからです。
それぞれ希望の位置に杜松を接ぎました。
2. 接木活着確認(6月予定)
過去に大きな盆裁で杜松が流行しました。
この時樹勢の落ちた杜松に真柏を根接ぎして守勢回復させることを多く見かけました。
「それなら台木が多く出回っている真柏に杜松を接木したらいかが」と単純な発想です。
3. 台木切り落とし後(9月下旬予定)
真柏ではなく、杜松の特性を考慮したジンつくりが必要です。
※接伏せ(根に接木して植える作業の造語)
1. 接木前のズミの根と富士小リンゴの接ぎ穂
台木となるズミの根Aは、毛根や不要根を整理し、綺麗にカットした切り口Cには、トップジンを塗付し拭き取っておく、挿し穂Bは、台木の太さより細いものを使用。
ポイントは、双方の形成層を合わせること、挿した穂が動かないこと、台木の切り口は、全閉にすること、手早く作業のこと。
2. 接木手順
※この作業は本来写真等取らず素早く終了させること
接穂を鋭利な小刀で、台木にあわせクサビ状にし、即、唇でくわえ乾燥防止
穂木に合わせ、台木に切れ込みを入れます。
形成層を合わせ、台木の切れ込みに接穂を差込む。
3. 接木
接合部は、接ぎテープで台木が挿し穂を咥える様に縛り、挿し穂もテープで密閉。
植え付け後露出している根の部分は、写真右の様に、ポットを改良し用土を入れる。
4. 5月上旬の発芽状態
5月連休には、接ぎ穂がテープを突き破り出て来た様子です。
1. 現状
現状の位置は、大柄樹形となっています。
枝は、間延びしており針金かけもたたみ込んだ大味な木です。
然し、多少の古さがあるのと価格が安いので入手しました。
つくり方も現状と同様、たたみ込み作りしか方法がありません。
樹高も12センチ程であり締りがありません。
2. 位置の選定
右側から見た根配りの様子です。
所詮たたみ込みつくりを実施するのであれば、根上りにつくり、間延び枝をたたみ込んだ姿と根の動きを同調させることにより、間延び枝の目線を根に移動させることとしました。
矢印部の様に針金傷も大きく、切除せざるを得ないものですが、樹高7センチを目指し鉢と幹を締め込みました。
3. 針金かけ後
目に余る大きな傷の枝は切除し、全体の枝に少し細めの銅線をかけた後、針金で締め込み枝位置を決めました。
ポイントは、枝を根の下を通過させ間延び枝と根を一体化させたところです。
枝数が少なくなったため、後ろ枝を前に移動させましたので後ろには、接木をします。
現状の樹高は8センチを想定。
1. 現状
立ち上がりは、良い構えであり古さも10年以上は経過しているであろう。
Aの方向に強く引き下げてあったため、Bの部分に大きな割れがあるため、更に引き下げることは不可能と判断し、一の枝活用と接木によるプチサイズに挑戦した。
2. 針金後とB部接木
Aの部分の接ぎテープを巻き割れが発生した時の保護(ラフィヤでも良いのですが接ぎテープでも同様以上の保護になります)
曲げ下げた頂点を7センチとしたので、緑がこの位置を上回らなければ、常にプチサイズが確保されることになります。
Bの部分は、根に接木をしました。
上部の切除は、秋以後を予定しています。