2月 一才ズミ 植替え、根伏せ、挿し木作業の継続
1. 2月22日現在
春挿した一芽挿しの5月26日現在の状態です。
前年の枝を一芽残し挿したものです。
2. 5月26日現在
5本発根、5本は未発根でした。
3. 発根状態
矢印幅は1cm。芽当り部より5㎜下で挿していることが判ります。
尚、木質部は枯れ太過ぎると発根難を示しています
4. 鉢上げ位置
植付け位置は、木質部が用土より上に植え、7月に根の部分に針金を掛け鋭い曲にします。
この時の作業で大切なことは、根を切らないことが基本です。
私の植替え定義は、小根が殆んど無い挿し木状態を植替えと云っています。
根を切らない植替えは、鉢替え又は鉢上げと区分しています。
5. 鉢上げ方向
鉢上げ方向は左右バランスよく行うと将来飾る場合便利。
6. 再挿し木
未発根品は再挿し木実施。尚、カット部に形成層巻きの無いものは発根難。
1.素材
先ず、この素材を将来どの様に育てるのかを検討した結果。
1)根の部分は、呼び接ぎにより右流れの模様樹にする。
2)矢印の部分で取り木をして札リ流れの株立ちにする。
この2点を考慮した針金かけを行う。
2.針金かけ及び呼び接ぎ状態
針金かけは、取り木の部分が左流れになる様意識して行う。
但し、樹は生長の過程で変化する場合が多くあるので弾力性を持ったつくりが求められる。
取り木は、結束法で行い根元に呼び接ぎをし、呼び接ぎは癒着状況と取り木部の発根状態を勘案しながら水苔で発根補助をする予定。
3.拡大
1. 頂戴した多数の根
頂戴した大量の根。
ズミの古木の木肌は、剥がれ易いのですが、根の部分は、木肌が荒れたとき、亀甲状に割れ、皮が脱落し難いので楽しみです。
カイドウや、富士の小リンゴ等と同じ様に根で作ることを推奨します。
これだけの根から出来る根伏せの鉢数は、ザット300鉢。今まで捨てていたそうです。
2. 方向付け
個々に見るとプチ盆裁に最適な根です。
この様な素材を見ると、正に「樹が自分で出来、人は、その一部を手伝う」
この行為が盆裁つくりであることを実感します。
見方によっては、奇形であり、欠点とも取れますが欠点を長所に変えることが育てることであり、我が子を育てることと同様と考えますがとてもやり切れませんのでPB火の国へ送ります。
3. 植え付け
アット云う間に50鉢。3年後が楽しみです。
尚、この様な根伏せに適した根は、1.5号鉢で植替え2年、2号鉢で植替え3年後位が適しています。
植替え1年ですと根が単純な物が多いです。
黄実ズミ、赤実ズミ、カイドウ、小リンゴ等に関わる代議としては最適であり、富士ズミも力枝を付け育てますと以外と早く実がなりますのでお試し下さい。
1. 現状
友人に頂戴した一才ズミ。
根伏せの根つくりを考慮し鉢底に矢作砂等を置き変形した根つくりをしてあります。
鉢を割り、根を傷つけない様ほぐします。
2. 良いとこ探し
根を観察し、特長を活かす根伏せ材料確保と、植え付け位置を検討します。
この段階で切り口には、保護剤を塗付しておきます。
3. 植え付けと根伏せ
写真右の矢印は、上の写真と同一品ですがアルミ線を巻き仮植え付けしますと細物を植えつける場合も便利です。
4. 保護
根伏せ品は、水苔又は多く露出するものは、矢印の様に筒を作り用土で保護します。
5. 挿し木
枝の部分は、一芽毎挿し木をしました。
切り口には保護剤が必須です。
※接伏せ(根に接木して植える作業の造語)
1. 接木前のズミの根と富士小リンゴの接ぎ穂
台木となるズミの根Aは、毛根や不要根を整理し、綺麗にカットした切り口Cには、トップジンを塗付し拭き取っておく、挿し穂Bは、台木の太さより細いものを使用。
ポイントは、双方の形成層を合わせること、挿した穂が動かないこと、台木の切り口は、全閉にすること、手早く作業のこと。
2. 接木手順
※この作業は本来写真等取らず素早く終了させること
接穂を鋭利な小刀で、台木にあわせクサビ状にし、即、唇でくわえ乾燥防止
穂木に合わせ、台木に切れ込みを入れます。
形成層を合わせ、台木の切れ込みに接穂を差込む。
3. 接木
接合部は、接ぎテープで台木が挿し穂を咥える様に縛り、挿し穂もテープで密閉。
植え付け後露出している根の部分は、写真右の様に、ポットを改良し用土を入れる。
4. 5月上旬の発芽状態
5月連休には、接ぎ穂がテープを突き破り出て来た様子です。
盆裁は、絵画や彫刻とは異なり生き物であり、
植物の生きている姿の基本的条件は根との一体感に有ると云えます。
樹の前後左右を見て、写真1の様に根元部が少し奥に引きながら立ち上がる様が良いと思います。
写真2は、お腹を突き出した様な感じがしますのでいけません。
写真3の状態では何をどうするにも判断不可。
写真4のレベルに透かしますと不要枝や不良枝が解かり、解かれば作業につながります。
写真3,4のズミほどでは在りませんがこの通天楓も葉を透かし、
葉切りを行いますと どの様に針金かけをするのかが把握できます。
この通天楓は枝数より細く少し長めの枝で構成する株立ち(9?11幹)を目指しており、
私の最も好きな樹形です。モミジ、楓の真骨頂が問われます。
写真1のレベルでも良いのですが、更に誇張した一体感を求め、アルミ線で修正しました。
当初写真の裏側で見たのですがこの位置にしました。
特に矢印の針金で根の位置変更で雰囲気が変わります。
挿し木したばかりの樹は、一から作る必要があるももの各自の理想とする姿に出来る楽しさがあります。
芽当り部から下へ5ミリ以内で切除した挿し木、実生同様にゼロから育てる楽しさは正に我が子を育てるのと同じです。
片時も眼を離さず育てた子供は「まさか突然変異」と思う時期も在るものの高学年に成るにしたがい、自分の子であることを実感させられます。
子育ては、何ものにも変えがたい楽しいゲームであり、盆裁はそれに順ずるものです。
「step1: 針金かけ及び引き事前検討」の二例目のズミの例。
作業前
葉透かしにより観察可能な状態になります。
不要、不良枝の切除実施。
針金かけ(肩かり)
鉢は、しっかりと固定し、専用仮肩で線端を固定します。
針金かけ
針金かけは、太さの違いはあるものの「樹に巻く」ではなくピンセットに巻く様な気持ちで作業しますと枝を傷つけません。
針金かけ後
針金を掛け右に流れる株状の姿を作りましたが秋までには、変化もあると思います。
結実を無視して枝の強弱を調整するのであれば切り込むのですが、
出来れば結実も期待したいので切り込みは9月上旬に行い、
葉数は4〜5枚残すと結実が期待出来ます。
間延び防止のための針金かけも重要な作業です。
取り木の位置も選定出来ました。
ズミ (一才性)※超推奨樹種
分類 |
実物 |
実施時期(於:富士市) |
植替 |
頻度 |
若木⇒1~2年 |
古木⇒3~4年 |
11月~2月 ※樹の固定 ※根伏せ素材確保 |
根切除 |
2/3、走根は元で |
1/3、走根 |
使用土 |
赤玉8、桐生2 |
赤玉8、桐生2 |
使用鉢 |
仕立鉢 |
鑑賞は色物鉢 |
鉢サイズ |
模様木、直幹木⇒樹高と同程度、その他⇒樹形に適合させて |
- |
植位置 |
鉢の空き寸法は流れ方向1,6、反対方向1、前後1:1、直幹はケヤキ参照 |
- |
植替後 |
防風、防寒対策 |
- |
整姿 |
樹寸法 |
模様木⇒上下1:左右1,6直幹木⇒上下1:左右1,4比、 株立ち、懸崖⇒上下1:左右2 |
- |
針金 |
培養中⇒アルミ線、鑑賞品不可 |
3~9月 |
枝引き |
培養中⇒アルミ線、鑑賞品不可 |
随時 |
芽掻き |
ピンセットで |
随時 |
芽摘み |
ピンセットで |
随時 |
芽切り |
鋏で |
5随時 |
葉刈り |
可能、但し花芽付かず |
6月まで |
葉透し |
混んでいる部分 |
随時 |
葉切り |
太さ調整 |
随時 |
力枝 |
幹、枝の太さ調整 |
随時 |
呼接ぎ |
新枝で |
3~7月 |
灌水 |
水かけ |
表土白く乾いたら |
各自頻度設定 |
腰水 |
水通りの悪い鉢のみ |
随時 |
葉水 |
好む |
夕方 |
置場 |
日照好む、通風好む |
- |
肥料 |
少量 (燐酸主体の肥料) |
9~10月少量 |
害虫・殺虫 |
油虫他 |
毎月、5月末と7月末の産卵、孵化時2週連続 |
スプラサイド他2種類を交互、石灰硫黄合剤 |
病気・殺菌 |
ガンシュ病 |
同上 |
ベンレード他2種類交互、石灰硫黄合剤 |
交配 |
リンゴ、カイドウの花で※交配後花に雨水をかけないこと |
開花時の午前10時 |
増殖 |
実生 |
一才ズミで |
採取時又は春 |
挿し木 |
古枝挿し ※推奨事項 |
3月芽吹き時、新芽挿し6月 |
根伏せ |
※推奨事項 |
11月~2月 |
取り木 |
結束、環状剥離 ※推奨事項 |
環状剥離6月、外し9月下旬 |
接木 |
樹種変更 ※呼び接ぎ推奨事項/b> |
2月下旬 呼び随時 |
2005年9月7日のメモ
ずみの特性(海棠もほぼ同じ)
ずみには山の裾野に多く自生している物と一才性の物に大別できますが5~6mm黄色の実は艶があり秋の展示会には最適です。挿し木、取り木、根伏せ何れも容易。
自生のズミは葉が大きく枝も荒く、実のなっている樹の根伏せをしても実がなるまでには10年位を要します。
一才ズミを推奨します。実生でも1年目でも管理によっては実がなりますが2年目には確実に実が付きます、実生の実なりの率は50%以上です。根伏せは当然翌年に実が付きます、枝は細かくミニ盆栽には最適。
培 養
- 植え替え、根伏せは9月末~1月末。春植えは厳禁。
- 上記を除けば特に注意点は無い作りやすい樹種
増 殖
- 根伏せ(根は自然の曲がりを活用すると面白い。土から3~5ミリ出して植え付けることを推奨。ビニールカップを使うと発芽後ビニールを少しづつ切り下げ秋には狙いの樹形が得られる様にし、本鉢に植えることが可能。何より、古くなると亀甲状の木肌が得られ木肌が剥がれにくい。これは他の樹木にも共通している。
- 実生(一才性に限定のこと、又海棠やりんごと交配すると大きな実や赤い実が付くことも在り楽しい)
- 挿し木、古枝は秋挿し保護管理要、新芽挿しは葉の固まった後(入梅時挿せば2週間で発根する)切り口はトップジン塗布しティシュぺーパーで拭き取る(多く付けすぎると切り口がコブ状になる)
針金かけ
- 新芽が柔らかい間にかける(木質が固まると針金が効きにくい)
- 根伏せした部分は針金が多少効きやすい。
消 毒
- 一般消毒で可
- 根の異常にはカッパーシン(明治製菓製=マイシンと銅水和剤の混合)が良い。
植え替え
- 植え替え時期は秋~1月末厳守。
- 春の植え替えは避ける。
- 用土は赤玉8 桐生2 竹炭0,5の量が私の実績です。
施 肥
- 多肥は避ける、燐酸分、カリ分、微量要素重視
- 実は多く付いている木は 実が止まったことを確認後2寸鉢に小指大の雑木用肥料1個施肥(小さい鉢の場合は実が多く付いた翌年、花芽が付かないことがある、その対策として本来とは異なる時期ですが少し肥料を与えています)