こちらも資料は無く、写真だけでした。
クチナシアーカイブ
1. 挿し穂
15年前、小葉のクチナシが雅風展に貴重登録作品としてお目見えし、その細かさに驚嘆したものでした。
その後この樹は、樹勢がのらず持主のM氏も困惑していました。
私が冗談で「クチナシだから全部枝を切り込んで挿し木をしてはいかが」と言ったところ、「それも面白いな」。
そして何十万円と引き換えに挿し木(親きは消滅)にしたものです。
2. 挿し穂準備
当時この挿し穂を見れば、鼓動で体全体が動く様な感動があったはずです。
今回、15年前の感動を更に高揚すべく、挿し木を行いました。
挿し穂は、株立ちを想定し、挿し穂を用土に倒して置くイメージで作りました。
3. 挿し木
丁度15年前、富士樹会の会員(当時私も会員)に支給されたものとほぼ同様の姿です。
頂戴した日は、いろいろな創造がめぐり一睡も出来ませんと云うより、興奮が冷めず当日の勤務でも眠気はありませんでした。
度合いは異なりますがより当時に近い感動が得られる様挿し木をしました。
3年後、枝数32本で展示する目標です。
きらく会原会長に頂戴した良実成のクチナシ
1.現状
2.本体
クチナシと云わず「プチ盆裁」の場合節間5mm(理想は3mm以下)以下のこと。
3.挿し穂
作業は簡単です。
接間が間延びしていると思う部分は全て切除します。
よって通常の培養作業も将来の挿し木、取り木等を考察したものが要求されます。
又、挿し穂の写真は、発根の容易さを考えるともう少し長く切除することをお勧めしまが、プチ盆裁は妥協の無い完璧さが見せ場ですので、選択は各自の審美眼の大小です。
4.本体の植え付け
小さな樹=プチ盆裁では在りません。
70cmの盆裁をそのまま7cmにした時、節間は10分の1に成るのが当然であり最低条件です。
1. 現状(07年6月挿し木)
07年6月6日 プチナシの古枝(ガレ枝)を挿し木。
施肥もせずそのまま放置したものであり、鉢も大きく鉢温が上らず成績は悪い。
そのため、間延びの少ない枝が得られている。
それぞれを鉢上げして、培養するためには素材に適合した鉢の大きさと肥培を繰り返す必要がある。
それでは、古枝、やせ枝の特長が損なわれるので、特性を活かす寄せ植えとした。
2. 植え付け
左流れの吹流し風の寄せ植えとし、古枝、細枝を維持する様培養したい。
鉢は、影山さんに頂戴した持ち込みのある変わり鉢ですが、外縁の突起と水切りの位置がヒットしていません。
が、当面この位置で培養します。
間延び部を切除してから植え付けますと完成イメージが掴めませんので切除は植替え後が良いと思います。
3. 追込み
植え付けた後、間延び枝全てを切除します。
何れの樹種も同様ですがプチ盆裁の場合5mm以上節間が伸びていますと、古さが伝わらず醜いものです。
節間さえつまっていれば枝の向きや位置は、針金でどうにでも成りますが、100本の枝の1箇所の間延びが、その樹の価値を台無しにしますので気をつけたいですね!
分類 | 葉物類 | 実施時期(於:富士市) | ||
---|---|---|---|---|
植替 | 頻度 | 若木⇒2年 | 古木⇒3~4年 | 5月下旬~6月 深切部トップジンを夜温度15度以上で 寒期作業厳禁 |
根切除 | 2/3、走根は元で | 1/3、走り根 | ||
使用土 | 赤玉8、桐生2 | 赤玉8、桐生2 | ||
使用鉢 | 仕立鉢、 | 鑑賞は色物鉢 | ||
鉢サイズ | 模様木、直幹木⇒樹高と同程度、株立ちその他⇒樹形に適合させて | |||
植位置 | 鉢の空き寸法は流れ方向1,6、反対方向1、前後1:1、 | |||
植替後 | 防風対策 | |||
整姿 | 樹寸法 | 模様木⇒上下1:左右1,6直幹木⇒上下1:左右1,4比、 株立ち、懸崖⇒上下1:左右2 | ||
針金 | 培養中⇒アルミ線 ※寒期作業厳禁 | 5月~7月 | ||
枝引き | 培養中⇒アルミ線 | 随時 | ||
芽掻き | 挟み又はピンセットで | 随時 | ||
芽摘み | 挟み又はピンセットで | 随時 | ||
芽切り | 結実確認後 | 10月 | ||
葉刈り | 可能、但し花芽付かず | 6月まで | ||
葉透し | 混んでいる部分を | 随時 | ||
葉切り | 太さ調整 | 随時 | ||
力枝 | 幹、枝の太さ調整 | 随時 | ||
呼接ぎ | 新芽を | 6月 | ||
灌水 | 水かけ | 表土が乾きかけたら | 各自頻度設定 | |
腰水 | 浸け置き不可 | - | ||
葉水 | 好む | 夕方 | ||
置場 | 日照好む、通風好む ※冬季保護 | 保護12~2月 | ||
肥料 | 中量 (燐酸主体の肥料) | 5~7月、9月 | ||
害虫・殺虫 | 青虫 | 毎月、5月末と7月末の産卵、孵化時2週連続 | ||
オルトラン粒状他2種類交互※防虫ネット推奨 | ||||
病気・殺菌 | 根腐り(根枯れ) | 同上 | ||
ベンレード他2種類交互 | ||||
交配 | 不要 ※花に雨水をかけない | - | ||
増殖 | 実生 | 経験なし | - | |
挿し木 | 古枝し ※超推奨事項 | 6月 | ||
根伏せ | 成功経験なし | 6月 | ||
取り木 | 結束、環状剥離 ※推奨事項 | 環状剥離6月 | ||
接木 | 種類変更に有効 | 6月 |
2005年12月25日のメモ
クチナシ(喜代誉)
現存するクチナシの中では最も葉が小さく、実(葉に比較すると大きめ)もよく付きます。但し、他のクチナシ同様幹や枝、根の傷が腐り込みやすい樹種であり用土、幹、枝等常にブラシとスプレーで清潔にしておく、切り傷は必ずトップジンMペ-ストで保護。
又、クチナシにのみ繁殖する青虫(オオスカシバの幼虫)対策が必須、これ等を実行すれば深緑の小葉と花の香りや高貴な染料である実が楽しめる温暖を好む樹種。
培養ポイント
- 前述の通り清潔管理(葉透かしで枝にも日を当てる)、トップジンMペースト処置。
- 植え替え、挿し木は夜の気温が15度以上(ゴールデンウイーク後)要。
- 防虫対策(防虫ネット)
- 枝の強弱は葉切りで調整(5月~9月の期間、斜めに切ると鑑賞も出来る)。
- 寒さに弱い樹であり防寒対策要、室入れも霜当てせず行って良い。
増 殖
- 挿し木、取り木特に挿し木を推奨(3cmレベル挿し木は数十回の実績あり)。
- 根伏せNG (何回かトライするも発芽実績なし)
- 温暖を好み、植え替え又は挿し木後寒さに当てると葉が緑~黒~落葉~枝~幹と黒色化して枯れる。(正常の落葉は緑~黄色~落葉~枝から発芽)
針金かけ
- 食い込まない内に外すこと。(針金傷から腐り込む)
- 当てゴムを使い針金で引くことを推奨。
消 毒
- 薬害には強いので通常消毒でOK。
- 青虫(オオスカシバの幼虫)対策はオルトラン粒状を鉢にまいても効果はある。但し、10日毎にまく必要があるので防虫ネットを推奨。 防虫ネットは20mmの黒色を推奨。オオスカシバは樹には止まらず舞いながら卵を1つずつ産み付けていくので20mm角の網でも中に入ることはない。
植え替え
- 時期は5月末~7月中旬を推奨(植え替え時の不要枝を同時に挿す)
- 用土は荒めで水はけが良いこと(清潔確保のため)
- 根の切り込みは切れる刃物で(鋏で切ったままでは根枯れ発生)行うこと3㎜以上の傷にはトップジンMペーストを塗布。
- 底に水のたまる鉢は使用不可。(根腐りの原因)
施 肥
- 肥料(科学肥料除く)多めでも可。但し、葉透かしと比例で行うこと透かし時は肥料除去。小鉢の秋肥は微量で、多過ぎると根焼けだろうか葉色が黄ばむ対策はマイシン。
- 施肥時期4月末~7月上旬、植え替え後鉢底より根は確認できた後。