プチ盆栽、プチ水石の共演が楽しい

盆栽も大きさがいろいろ在り、楽しみ方もそれぞれである。

あえて分類するためにスポーツに置き換えてみると、単体で楽しむ大型盆栽は個人種目であり、小品盆栽は団体種目となる。
団体種目もサッカーや野球をはじめ数多くあり、勝敗と共にそれぞれの役割の良し悪しも興味深いものである。

小品盆栽の展示会を見ると、いろいろな種類の樹や草などがバランス良く配置されており大いに感心する。
スポーツに例えるとシンクロナイドスィミングの一糸乱れぬ動作の小気味よい素晴しさを感じる。

我々が愛好しているプチ盆栽は樹高も5~6センチのものが多く、飾るときは可愛さを優先したものになり質感にかけ、質感を確保のため太目の樹を無理に小鉢植えすると痛々しさがあり植物に対する虐待になってしまうので悩んでしまう。 

そこで樹や草以外の力を借りることを考えるのである。
水石、添配、軸物などの植物とは異なるものの融合美はプチ盆栽の楽しさでもある。

近年注目のカーリングというスポーツを見ていると、状況判断し作戦を指示する人、石を投球する人、ブラシで氷面を調整する人など目的に向かって、これ程チームのメンバーが異なる動きをするスポーツは無いのではないかと思う。
普通スポーツは監督が作戦支持を出すのだがメンバーが交代で指示を出している様でありめずらしい。

テレビ観戦では、ハウスという目標円近くのブラシでスイーピィングしている2人だけが目立っている。
然し、氷上の危うさの中で石の行方を追うメンバーの眼差しは何故か応援したくなり、プチ盆栽の飾りと共通したものを感じさせる。

中には盆栽は盆栽の展示会で飾り、石は石の展示会で飾るべきだとの意見があるが、団体スポーツはサッカーや野球だけではなくいろいろな種類があり、限定せず、その人の好みに応じて楽しみたいものです。

さて、プチ水石をプチ盆栽と共演させるとき重要なことは、演出に必要な表情、雰囲気を持った石が好まれる。
即ち、石質より石の形が優先されるのである。
当然、石質が良くて形が良ければ言うことはありません。

静岡県富士川町に住み、富士川プチ水石に40年近くこだわり探石を続けている太田芳雄氏がいる。
氏の水石は姿石、紋石、茅舎等多種多彩であり、プチ盆栽と共演する要素を全て兼ね備えたものばかりである。
然し、太田氏はプチ盆栽を多く所蔵しているものの主は水石愛好者であり、プチ水石が主役でプチ盆栽が脇役になっているのは当然である。

富士川は日本三大急流であり、鳳凰三山をはじめとする各所の石を急流が河口まで運んでくれており、プチ水石の探石場所が河口から4km位に集中しているのが嬉しい。
全国のプチ盆栽愛好者の皆さん。プチ盆栽とプチ水石の共演をおすすめします。
と、太田氏はいう。