肥料・調整剤アーカイブ

成長調整剤の基礎知識

プチ盆栽は、「小さく、可愛く、元気良く」が狙いですが、なかなか狙い通りとは行きませんので成長調整剤の力を借りることもあります。

成長調整剤は、別名倍花剤とか云ってミニ菊、ミニ朝顔等昔から園芸農家で使用しており、小さくても花を咲かせ、実を成らせるのに有効です。

賛否はありますが樹勢を落とさず小さく出来る手段としては、有効手段であり、施さなければ元に戻ります。
科学の時代ですのでIB化成同様、大いに活用すべきと考えます。

【長所と短所】
長所短所
間延びが少ない 小さくても花が咲く 小さくても実が成る花が大きく、多く咲く 実が大きくなる クチナシ等樹種によっては、葉のちじれを起こす

調整剤の選定

成長調整剤は、多くの種類がメーカーで生産されJA等で容易に入手出来ます。
私の使用実績では、住友化学製の「スミセブン」が良いのではないかと思います。

尚、成長調整剤に勝る成長抑制方法は、針金かけと思います。それは、徒長枝を何とか通常枝に仕立てようと、葉刈り、葉切り等を実施しても狙い通りになりませんでしたが少し強めの針金かけをしますと抑制されます。
10日の中を置いて2回実施すれば殆んど問題ありません。

肥料の基礎知識

盆栽肥料としては、昔から菜種油の絞り粕(油粕)や骨粉等が使われている。

最近では、化学肥料も工夫され多種の肥料が市販されており、近隣への配慮から異臭の少ない化学肥料を使うことが多くなりました。
然し、化学肥料は使用方法を間違えると肥料焼けを起こし易いので注意が必要です。

又、肥料が欠乏しますと実物など次年度に花芽が付かない等のことが在りますので適した施肥が欠かせません。

施肥の目的は何か

「人から良いと聞いたのでこの肥料を使用している」等の話を聞くことが多くあり、少しでも速く、良い盆栽をつくりたいという気持ちが、種々の情報活用となっており良いことではあるが、目的に整合した肥料であるのか不安である。

自分はどの様な盆栽をつくりたいのか、目的や目標及び培養場所に適合した肥料選定と施肥は、プチ盆栽培養に欠くことが出来ません。
当然、市販されている肥料の成分表、用途、使用上の注意書き等を読み、目的に合わせて理論的に使用することは培養者の義務であり、何より大事なことは、実施し、観察して最適条件を見つけることです。

肥料の性質と特性

(肥料便覧(社)農山漁村文化協会、昭和57年出版より)

【3大要素と効果】
肥料分類用途(効果)注意点
N:チッソアンモニア、硝酸等19種類大きく、太くする過剰は、耐病虫害に劣り軟弱となる
P:リン酸過リン酸石灰等根の発育、枝分かれ、葉数を多くするチッソやカリの比べ吸収性に劣る
K:カリ硫酸カリ、塩化カリ他寒、暖、干、病虫害の抵抗力を増す他の成分とバランスよく(チッソより少なく)

それぞれの目的と肥料成分の含有量及びバランスを考慮した施肥を要す。

【代表的含有成分量の分類】
分類NPK比備考
水平型肥料 水平型同比率IB化成等化学肥料に多く見られる。但し、化学肥料ですので比率は各メーカーが自在に生産しており、成分表確認の上使用要す。
山型肥料 リン酸多リン酸多「おまかせ」に代表されるプチ盆栽に適した比率である。
下がり型肥料 チッソ多チッソ多「種粕」がこのパターンである。古くから盆裁肥料として使用されています。
平のぼり型肥料 カリ多カリ多「微粉ハイポネックス」がこれに相当し入梅の追肥や寒期の追肥穂に適す。
のぼり平型肥料 リン酸多カリゼロリン酸多カリゼロ「骨粉」がこれに当たるが遅効性であり、石灰質の多い土では、難効性になる。

各肥料の容器には必ずこの表示が在ります。よく読んで使用願います。
複数肥料の併用も、狙いの効果を得るためには必要です。

【効用スピード】
区分別称備考
即効性水溶性字の通り効き目を速くしてある肥料
緩効性溶性緩やかに効き目が出る様調整した肥料
遅効性苦溶性有機肥料等効き目が遅い肥料で肥焼けの発生は少ない
難効性苦溶性用土、肥料との不適合による変質。例えば、石灰と骨粉の併用等で発生する変質がある。

成分の含有量と共に効力の発するスピードも重要な要素である。肥料容器の表示を確認し、狙いの仕様を選定して使用するのが上手な施肥といえます。
肥焼けとは、肥料が直接根に触れ根枯れを起こすことを云います。
何れも各成分はアンモニア等に変質してから効力を出すようです。
「肥料の利きが速い」ものを「肥料が効く」と勘違いしている人がいます。「肥料が効く」と云うことは、「狙い通りの効果が得られた」ということです。


プチ盆栽の施肥狙い

根が元気 → 芽が多く出る → 丈夫で枯れない
よって、プチ盆裁は、リン酸分の肥料が主体となり、根数、枝数を多くすることを狙います。
特に実成物は、燐酸分、カリ分が大事です。

施肥方法による効果

同一量の肥料でも、施肥方法によって効果や効果速度に大きな差がありますので、それぞれ目的に合わせて実施します。

【肥料の目的と使用方法】
目的方法
速く、多く施肥の場所に水苔を置きその上に肥料を置く。
普通肥料の最大面を用土に接触させて置く。
やや遅く肥料の最小面を用土に接触させて置く(針金で固定要す)
肥料の最小面を用土に接触させて置く(針金で固定要す)肥料を用土に接触させないで置き(専用容器を使用又は針金で肥料を縛り浮かせて置く)雨天や灌水時のみ溶出させる。 完成木に使う方法です。

肥培させても、間延びした芽当りの少ない樹では困ります。過剰なエネルギーを放出させる部分を作っておく必要があります。即ち、捨て枝です。捨て枝があるから多肥が可能となります。
肥料切れ、肥料分が完全になくなりますと枝が間延びします。よって施肥は、連続的に実施することを進めます。水肥は7日間隔で、置き肥は7日のオーバーラップをさせる

施肥の位置

【右側に根を伸ばしたい場合】
肥料 右側に伸ばしたい場合

【均一に根を伸ばしたい場合】
肥料 均一に根を伸ばしたい場合

プチ盆裁の場合変化が顕著に現れます。一年間の施肥方法で根の張り方が変わります。その目に見える効果は、2年目に現れます。
均一に肥料を効かせるためには、水肥が良いのですが毎週施肥が必要になりますので置き肥(玉肥)が一般的です。