私の資料は、全て「参考」です。
地域、管理場所、管理時間、トラエ方等諸条件が異なります。即ち、異なっているのがむしろ正しいと思うことが盆裁を更に楽しくします。
異なりから教えられることも無数にあり、上手下手で区分は出来ません。
20年程前です。80歳位の吉野さんと言う方が五葉松の実生数十本を2号鉢で育てておりました。
私には、何の変哲も無いただ細く真直ぐな五葉松にしか見えませんでしたが、古さがありましたので手に取り見せて頂き、元の位置に返したつもりでした。
すると吉野さん、鉢の位置を微妙に変えました。聞くと、わしは、「自然を創りたい」何十年も鉢の位置や方向を変えず、野山の自然を忠実に表現したいと云うのです。
自分の未熟さに愕然とし、顔が真っ赤に火照りました。正に、盆裁の素晴しさと、人はすばらしい生き物であることを実感させられことは、忘却できません。
又、各資料を編集して一冊の本にしては、と、云われますが私には出来ません。
盆裁は培養条件の異なりや培養技術、技能開発、薬剤開発、用具開発等進化のスピードは私の想像をはるかに超えております。
更に、私自身も常に新しい思考を善と考えており、一冊の本でお茶を濁す様な無責任なことは、到底出来ません。
要は、昨日私の云ったことや報告したことは、今日には、古い事例となっていることが多くあります。
昨日とは一歩でも、前回とは半歩でも進歩しようと思いながらおりますので当然であります。
よって、それぞれの資料はあくまでも参考であり、より多くの皆さんが実践した事例交換こそ盆裁仲間の理想と考えます。